+++アンニュイ+++

□水面下の攻防
1ページ/12ページ

寒い。

昨日からどかどかと雪が降っている。
大寒波到来とかニュースでやっていて、ターミナルまで封鎖させられたらしい。例年そんな江戸には雪が降らないから、今年もきっと異常気象なのだ。昨年の夏も酷く熱かった。

寒いよりはましだよねぇ、なんて暖かい炬燵に足を突っ込みながら銀時はごろりとカーペットに寝そべった。

「あー、外出たくねェ…」
「今日はテロを起こす奴も居るまい」

言っている本人も炬燵の中で丸まっているのだから確かにテロも起こりそうにない。

そんなことを言いながら、家主をあの手この手で引き止める計画が発動中だ。
土方の家と屯所は徒歩にして五分かからないのだけれど、道には恐ろしいことに二十センチも雪が積もっていて人影もまばらだ。
確かにこんな日はテロリストも起き出すのが面倒であろう。土方家にも炬燵から出たくないテロリストが二名ほど居る。

「雪見酒とでも洒落込むかァ?」
「朝っぱらからかよ…アル中になんぞ」

呆れたように言った土方は、先刻まで廊下で電話をかけていた。
何やかやといっては引きとめようとする男四人が煩かったのと、本人も外出したくないくらい寒かったらしい。
低血圧・低体温に加えて貧血症のケもある土方にとって冬は天敵だというのに、今日は雪まで降っている。今日も四人がかりで起こさなかったらあやうくそのまま冬眠してしまうところだった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ