+++アンニュイ+++

□サデッスティックの波紋
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二週間ぶりに地球に戻ってきたら、何故か桂が庭に出ていた。

土方の家の庭には一応高い生垣があるのだけれど、見付ると面倒だからと普段家事の類は全て土方がやっているはずである。

「戻ったのか」

そういいながら布団叩きを振るう手を止めない桂だ。

この季節柄、洗濯ものを出せるのは昼の僅かの時間しかない。下手をしたら再び湿気ることになるためだ。その昼の時間、何故か三角巾までつけて布団叩きを振るっている。…結構似合うと思ったのは秘密だ。

「ヅラ…何をしちょる?」

聞いたら憔悴したような、落ち込んだような、取り合えず陰気くさい顔でひとこと、

「土方の機嫌が悪くてな…」

と言う。
振り返れば既に干し終わったのだろうか、回収した洗濯物を高杉が縁側に出て無言で畳んでいた。
中々シュールな光景だ。やっていることはおかしくは無いのだが、桂はともかく高杉に家事はどうしても似合わない。

「今は近付かねぇ方が良いぜ」

苛苛としているのはいつも使っている煙管が無いからだろうか。洗濯物を焦がさないようにだろうか。

それでも家主に挨拶は欠かしてはなるまいと、坂本は奥の間に足を進めたのだった。
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