tobita.book
□同じ月を見てる…?
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「あー、キレイな夕日ー。こりゃとびきり上等な月が見られるかもねー。」
陽が西に沈みかけ、気の早い星がちらほら現れだした頃、団子屋へお使いの帰り道に、猿飛佐助は額に手をやり、太陽の沈みゆく空を眺めていた。
「まぁーったく。忍び使いが荒いよねー。お月さまなんてロクに見もしないクセにさー。月見団子買って来いなんて。」
先程からぶちぶち文句を言ってるこの男、これでも忍である。
堂々と往来を歩き、明るい色の髪はとても夜の闇に紛れられないと思うのだが、これでも優秀な忍である。
「きっと、竜の旦那達も月見するんだろうなぁ…。しかも、めっちゃいいカンジで!うちの旦那達にも見習わせたいねぇ。」
はぁあ〜…。
なんだか、やたらに長い溜息をついた後に館を出てから大分時間が経っている事に気付いた佐助は小さく「やっべ」と呟いて(忍らしさの欠片もない呟きだ)慌てて館へ帰って行った。