パエリア
□相互相違、キミに愛を。
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ボクは今日も仕事。
占いをしていても、五感は強く働いていて……ふぅ。
─カツカツ、カツカツ
ローヒール…いや、ブーツかな。そんな足音が迫る。
…まったく、ちゃんとならべば視てあげるんだからルールぐらい守って欲しい。
また、どこぞのお偉いだとでも言うのか?
ボクのため息と同時に現れたのは、眩しい銀髪の……銀髪、の…
「やっほぅ、ココ!」
「・・・・・撫子、さん;」
今占っていた青年はきょとんとした。しかしそれどころじゃない。撫子さん、撫子さんが来たんだ。
「相変わらず繁盛してるわね。すっごいならんでるじゃない」
「…あ、ありがとうございます。その…今日はいったい…?」
「ああ…オ・シ・ゴ・ト、の話だけど〜…」
にこっと笑って唇に人差し指をあてながらそう言う撫子さん…またか。仕方ないな撫子さんだし。
「わかりました。ですがボクの仕事が終わってからです」
「んふふっ、ありがとう」
「後で連絡しますから、時間を潰していてください撫子さん」
「はいはーいっ、じゃあねっ」
くるっと向きを変え、彼女はならんでる人たちに言った。
「お騒がせしてごめんなさい」
……こういう気遣いは、女の人だなぁと思うんだけどなぁ。
「じゃココ、またあとでーっ♪」
「…分かりましたよ;」
さて、今回はどんな厄介事が持ち込まれることやら……ん?
「…////」
「はぁ…////」
「か、可愛かったね、今の子…」
「こ、ココさんとどういう関係なんだろ…」
……はぁ。
「あら、意外とはやかったじゃない、ココ」
「…はい」
「んじゃ、行きましょうか」
「…わかりました」
「疲れてるわねー…ああそうだ、はいこれお土産」
ぽんっと手に乗せられたのは、彼女の愛飲する紅茶会社のパッケージ。
「…愛飲店の限定紅茶ですか」
「えぇ、あたしもお気に入りなのよ。紅茶好きが死に物狂いで手に入れたがる限定中の限定ブレンドよっ」
にこにこ笑う撫子さん…さて、そろそろ行こうか。ボクらはキッスに乗ってボクの家に向かった。