パエリア

□相互相違、キミに愛を。
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「紅茶いれますから、撫子さんはソファーでくつろいでいてください」

「えー、ココの部屋がいいなぁ。眠いし」

「やめてください;」


けちー、と言う言葉を受けつつもマントをはずし、キッチンに向かう。

撫子さんは昔、「庭」時代にともに過ごした人だったりする。
あの人は、総てが「相変わらず」だ。

撫子さんの好きな紅茶、クッキーを淹れて…ああドーナツムリのドーナツがあったよな。それにしよう。


「撫子さん、紅茶………」

「…えへっ」

「撫子さん、何やってるんですか!!」

「部屋には無いだろうから、ソファーの下とか本棚や薬棚の間にオトコノコの本が隠れてるかなぁって」

「ありませんってば…勘弁してください;」

「やっだよーん」



まったく…この人は。


──ガアァ、ヴァァ



「…キッス?」

「あ、忘れてた」

「え? 撫子さん?」

「この為にここに来たんだった。ほらココ、こっちよっ!」

「は? ちょ、撫子さんっ?」




パタパタと撫子さんはボクの手をひいて外に連れ出した。
キッスのところに行くと、そこには見たことも無い生物が横たわっていた。



「こ、これは…」

「名付けて『スイーツリュウ』かな。鱗や爪はあまくって、お肉はとろっとろ!
…んふふ〜」

「……こういうのはトリコやサニーに任せたほうが…」

「2人には去年会ったから、やだ♪」

「…ボクも目立つのは嫌いなんですが;」

「そうね。だから、どうするかは任せる。あなたが行ってくれても良いし、彼らに任せても構わないわ」

「……」



新しい生き物・食材は発見したなら報告の義務がある。が、彼女は何があってもそれをしない。それもそのはず、彼女は「IGO」から逃げ回っているのだ。


「分かりました、トリコに連絡しておきますから…で、期限は?」

「多分、あさってまで」

「…迎えに行ったほうがはやそうですね」

「そこは任せるわ。ただ報告は3日以内にしないと、本気で鱗と爪以外が食べられなくなっちゃうから」

「わかりました…で、今日はどうされるんですか?」


まぁ、分かるけど。一応聞かないと。



「泊・め・て・♪」

「………はぁ…はい、撫子さん」

「ありがと、ココっ」

「…」



そんな風に、嬉しそうに笑わないでくださいよ撫子さん。

今夜はまた、眠れなさそうだ。




 
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