連載

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ピンクでスイートで超キュート!


++苺オレ・2++


今まで顔を合わせることなんてなかったのに、あの件以来、何かとセンパイの姿を目にするようになった。
ミーがセンパイの存在を認識したから……ではない。向こうがやたらとアピールしてくるのだ。
屋上の貯水タンクの上でも、頻繁に会うようになり。
「またセンパイですかー」
「よっ、フラン」
最早、互いに退かない性格なのは分かっていたので、何かを言おうとは思わない。
かと言って、気安くお喋りする気にもなれない。
だが、センパイはどうもそうではないらしい。
会う度に、必ず声をかけてくる。
今もそうだが、移動教室で廊下で擦れ違う時や購買に並んでいる時、登下校の道のり……。
思い返せば、本当に最近はセンパイに会わない日はない。
「センパイ、いっつもここでミーと鉢合わせして、サボった気になるんですか?」
普通、一人でぼんやりしたくてここまでくるのだろう。それなのに、ミーがくるのを分かっていても尚やってくるのが理解出来なかった。
(ここまでくると、もう意地なのかなー?)
「お前こそどーなんだよ?オレがいるの分かっててきてんだろ?」
「それは……」
「それは?」
ミーは、考え込んでしまった。
センパイの存在が、ミーの学校生活の中に浸透していることが、思いの外嫌ではないことに徐々に気付いてしまっていたから。
センパイがいるのが、当たり前みたいに思えていた。
「……分かっててきてます」
「何で?最初、凄ぇ嫌そうにしてたじゃん」
「なんか、今はいるのが当たり前みたいに感じてるから、だから……」
「うん?」
「センパイに会えるの、ちょっとだけ嬉しいって言うか……」
「ししっ、オレもフランに会えんの嬉しいよ」
そう言って隣に座るミーの腕を自分の方に引っ張り、ぎゅうっと抱き締められた。
「なあ、今どんな気持ち?」
「ドキドキ、してます」
間近にセンパイの温もりを感じて、心臓が早鐘を打つようだった。
今まで気付かなかった、センパイの匂い。甘くて、でもくどくなくて……思わず擦り寄りたくなるような、ふわりとした香水の香りだ。
(この匂い、好き……落ち着く)
目を閉じて、センパイに身を委ねる。
妙にほっこりした気持ちになり、最初に感じていた緊張も和らいできて。
そうして暫くの間、センパイの腕の中にいた。
「これからは、会った時はこれな?」
髪を指で梳きながらそう言ったセンパイの言葉に、ミーは赤くなりながらもコクンと小さく頷いた。

To be continued.
2010.01.07

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