短編

□断罪の微笑み
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さて質問だ。

とある国の王と対面して頭も下げず、それどころか勝手に発言をしていいものだろうか。


答えは否だ。


例えそれが敵国の王だとしても立場は弁えるべきである。
それが身分というモノだ。

それに従いルークはしっかり礼を取ったというのに、彼女たちは頭すら下げない。
まったく、報告通りすぎて泣けてくる。

自分が王という事を少し疑いたくなった。



「・・・話はわかった。が、いくつか質問をしてもいいだろうか?」
「そんな悠長にしてる場合ではありませんわ!」
「そうですよ〜早くしないとセントビナーが!」
「まず一つ、アクゼリュスが落ちてしばらく経つがその間何をしていた?」

皇帝の質問を受けつけないとは死にたいのだろうか。

周りがどんどん殺気立ってるのにすら気づかず発せられた言葉を遮って質問した。
すぐさまユリアの子孫と導師守護役が反論しようとするが一つ睨みつけたら黙った。
今更黙っても遅いがまぁいいだろう。
何をしていたかなんてのはとっくに報告を受けてるが彼女たちがどう返してくるか興味がある。

質問の答えを促すと王女が答えた。

「私たちはユリアシティを出てからアッシュがベルケンドにヴァンの情報があるというのでそちらに・・・」
「アッシュ、ね」

思わず出たため息。
それに王女がムッとしてこちらを睨んできた、やっぱり死にたいのか?


「二つ目、どうしてテオルの森を抜けた?」
「それは六神将が来たから知らせようと」

ならどうして兵士を気絶させてきたのか、知らせるなら彼らに頼めばいいだろう。
知らせるのは自分たちしかいないとでも思ったのか?

迷惑この上ない使命感だ。



「・・・・三つ目、これは少し遡るが。何故ユリアシティにルーク殿を置いてきた?」
「それはルークが目を覚まさなかったから!」
「連れて行く事もできただろう?」
「そんな、何日も戦艦に置いておくなんて危険ですわ!」

違うだろう。
連れ歩きたくなかった、一緒にいたくなかっただけだ。

しかし彼女たちを責めるべきはそこではない。
いや、そこだけではない、か。





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