短編
□「Need More Your Smile !!」
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ティーダの意識はたゆたっていた。
ゆらゆらゆらゆらと。
ここはどこだったろう。
何かが見えるわけではない。
明るくも暗くもない場所。
ただ暖かい、安らげるような。
不意に額に何かが触れた。
たぶん、人の手だろうとティーダは考える。
低めの体温が伝わってなんだか気持ちよかった。
額から頬に移ったそれに思わずすり寄った。
暫くは頬を撫でていたそれは今度は髪に移動する。
優しく髪を梳く手は誰のモノだろうか。
そう思った途端、ティーダの意識は浮上を始めた。
* * *
ティーダは頭部が何かに乗っているのを感じた。
なんだろうかと彼が薄目を開けると誰かの顔が見えた。
ただ逆光で影になっていてよく見えない。
ティーダが目を凝らそうとすると声が降ってきた。
「起きたのか・・・?」
その声で未だゆらゆらしていたティーダの意識はようやく現実味を見せた。
「・・・・クラウド?」
「ああ」
どうやら自分はクラウドに膝枕してもらって寝ていたらしい、が、何故だろうとティーダは考える。
彼は眠る前一人だった。
暇を持て余してやってきた次元城のすみで、太陽もないはずなのに暖かな空気に微睡んでいたのは覚えていた。
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