僕等はここにいる

□『少し夢を見たんだ。3人で笑ってる夢を』
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真っ白な空間を俺たちは漂っている。


体が眠っていても、お互い意識がある時はいつもこうだ。



「…なぁ、アーク」
「ん〜?」


気のない返事はいつものこと、これがアーク。
俺だったら「何?」とか聞き返すんだろう。

そんな微妙な違いについての思考は頭の隅に追いやって。


「なんで、『よかった』って言ったんだ?」
「思ったからだろ」
「じゃあなんで思ったんだ?」


しつこく訊ねる俺にアークは訝しげな顔をした。

でも、あのアッシュの返答でアークが「よかった」なんて…。

じっとアークを見つめていると、彼は数回まばたきをして逆に聞いてきた。


「なんだ、嬉しくなかったのか?」
「そっ、そんなわけない!…けど」


確かに嬉しかった。

創りだされてから、なんだかんだ言って俺を見てくれてたのは彼だった。
そうして惹かれていた彼が自分を好きだと言う。

嬉しくないわけがなかった。


…けどアークだって。


「よかったんだよ。これで」


俯いた俺にアークはニカッと笑った。

どうして笑えるんだよ。
俺は、お前の好きな人を盗ったのに。


「う〜、俺の中にこんな卑屈思考があったとは思わなかったぜ」
「わ、悪かったな卑屈で!(///」
「ハハハ!」



なんかアークって大人だよな。
ていうか俺様?
本読んだりしたからか?

俺も読むけど、音素学とか専門的なのばっか、アークは主に物語。

専門用語とかの羅列はイライラするから物語から知識を得る方がいいらしい。
逆に俺は物語だと眠くなる…。



「お〜い、思考が脱線してっぞ」
「のわっ?!人の心読むなよ!;」
「勝手に流れてくんだからしゃあないだろ?限りなく同一に近いんだし」


ケラケラと笑う様は子供っぽい。
結局7歳だもんな。



ていうか、『同一に近い』ってどういう意味だ?


「お前は俺の小さな思いから創られた。だからお前の思いは俺のだし逆もそう言えるだろ?」


まぁ元が同じなんだから当たり前だ。


「だからお互い同じ感情を持つ時なんてたくさんある。奴への思いも否定できないだろうなぁ、揃いも揃って同じ奴好きになってさ」


自嘲的に笑う様は見慣れたもの。

彼は一度白の空間でクルリと回った。
上も下もないからなんてことはない。






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