僕等はここにいる
□『少し夢を見たんだ。3人で笑ってる夢を』
2ページ/3ページ
「でもさっきお前は俺の考えに反発しただろ?つまりすべてが同じってわけじゃねぇ。すっげぇ似てるけど結局別人だ。わかったか?」
「…アークって、頭よかったんだな」
「どういう意味だこの野郎」
アークは俺の頭を鷲掴みにしてギリギリと力を込めてきた。
痛い痛い!
なんだよ褒めてんのに!!;
しばらくしてようやく頭を離される。
と、彼が笑う気配がした。
それは珍しく自嘲的じゃなくて嬉しそうだった。
「…だからよかったんだよ」
「え?」
「俺の思いでできた、俺に限りなく近い存在のお前を奴が好いてくれた。つまり、俺の一部分でも好いてくれたってことだろ?」
嬉しそう、なのになんだか儚い笑み。
本当にそれでいいのか?
伝えてもいないのに、その機会さえもうないかもしれないのに。
だってアーク、お前はもうすぐ……。
「ストップ」
「…ッ」
口を開こうとした俺にアークが待ったをかけた。
それで苦笑して言う。
「やっぱ気づいてたか。まぁその様子だとやめないのもわかってるみたいだから、いいけどな」
途端に襲ってくる眠気。
どこまで深く眠らせる気なんだろう。
「この章が終わるまで寝てろ。……さよならだ」
……うん、さよなら。
『少し夢を見たんだ。3人で笑ってる夢を』
NEXT.