僕等はここにいる
□『夢だったんだよ。』
1ページ/4ページ
「なんだ、来ちまったのか」
お早いお着きで、などと言って奴は一つ礼をしてみせた。
浮かべる笑みは相変わらず自嘲を含んでいる。
「ふざけないで質問に応えなさい!」
「うるっせぇな。なんでお前等まで来てんだよ、アッシュだけならともかく」
心底嫌そうな顔で先ほど大声を出した女を睨む。
奴の言う、俺の後ろの『仲間』に向けられるのは明らかな嫌悪だ。
それに気付いてるのかわからんが今度はチビが吼える。
「いいから質問に応えてよ!」
「被験者様ご所望の瘴気中和だけど、悪いか?」
なんてことないように応えられたそれに連中が顔を青くした。
それにケラケラと笑うアーク。
「・・・何がおかしい?」
「おっかしいじゃん!先に死ねと言ったのはそいつらなんだぜ?なのに今更青くなってさ、そんなに人形遊びが楽しかったのか?」
「な、何を言っておりますの?!」
「だって惜しくなったんだろ?自分たちに優しい“ルーク”がさ」
ナタリアが息を詰めたのがわかった。
他の奴等も心のどこかにその可能性を感じて何も言えなくなる。
ルークを助けたいとか言いながらテメェ等の覚悟はそんなもんかよ!
思わず出た舌打ちにアークが笑った。
「っ、ルークは、ルークはどうなるんだ!」
「やかましい、似非親友」
なんとか声を上げたガイをアークはバッサリ切って捨てる。
今ガイは7年育てた目の前の“ルーク”を捨てたことになるのだと、何故気付かないのだろう。
「・・・レプリカ共はどうした?」
「危ねぇから非難させた、今頃グランコクマじゃねぇの?別に『人』で代用する必要はない。一万人はあくまで例えだし、コレがありゃ『物』やらそこらへんので十分足りる」
俺の質問には素直に答えた奴は握っている剣を見せた。
淡くオレンジに光るソレ。
レプリカは『人』とは限らない。
『物』だってある上に、第7音素自体は空気中にいくらでもあるのだ。
それを集める為の剣、そして時間。
あの時すぐに思い至らなかった自分に腹が立つ。
.