僕等はここにいる
□『夢だったんだよ。』
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俺が歯を食いしばっていると、眼鏡が口を開いた。
「レプリカを避難させた、ということは中和の場にレプリカがいる危険性をアナタは知っているでしょう」
「・・・・」
応えないアークをそのままに続ける。
「アナタがそれをすれば、その体はタダでは済みませんよ。それはつまりアナタもルークも
「ルークは死なせねぇ」
眼鏡の言葉を遮って言ったアークの言葉に全員が目を見開く。
無表情になった奴はそんなことは気にも止めず続けた。
「言っただろう、殺すつもりはさらさらないと。この体も、ルークも生かす。死ぬのは・・・
・・・俺一人だ」
誰かの喉がひゅっと鳴った。
息を呑む音がする。
奴の目に虚偽はない。
あるのは覚悟だけ。
「お、前・・・」
「勘違いすんなよ?これは被験者の為じゃねぇ、ルークの為だ。ルークが望んだ世界の存続。俺とアイツは元は一つ、ルークの望みは俺の望み。・・・ルークに感謝するんだな」
そう言いながら手元の剣に視線を落とし、刃を愛しそうに撫でた。
それに呼応するように光が強くなる。
その様をアークは嬉しそうに微笑んで見ていた。
「アッシュ」
「・・・なんだ」
こっちを少しも見ずにかけられた呼び声に別段驚かずに応えた。
アークは剣を逆手に構え直しながら俺を見た。
儚げな笑みは今まで見たこともないもので、目を奪われた。
「ありがとう」
剣が地面に突き刺さる。
誰もがその意味に気づいているのに、誰も動けない。
「お前は“ルーク”を好いてくれた。・・・・見てくれてた」
オレンジの光が、アークを包んでいく。
「さよなら」
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