僕等はここにいる

□『俺達はここにいた』
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作戦前日、彼の話をした時の陛下の表情。



アッシュと罠にかかった時、勝手に開いた扉。



ほとんど消えていたシンクが最後に見せた笑顔。





それらに感じていた、彼の気配。



まさか、とは思う。
彼はいなくなってしまったはずだから。


でも、もしかしたらとも思ってた。























「ルーク!!」



呼び声にはっとして本能的に横に跳ぶ。


さっきまで自分がいた地面に剣がめり込んだ。

アッシュの怒鳴り声が響く。


「ぼさっとしてんじゃねぇ!!」
「ごめん!!」


目の前のことに集中する。



アッシュと一緒にヴァンに斬りかかる。
続けざまにガイとアニスが。

後方からはジェイドの譜術が、ナタリアとティアの譜歌が援護してくれる。


「サンダーブレード!」
「ナイトメア!」


術を耐え抜いたヴァンが微かに笑ったのが見えた。

直感的に逃げるべきだと悟る。


「皆!離れろ!!」


すぐさま全員が後退しだすが少し遅い。



「エンシェントレクイエム!!」



前衛の俺たちは避けきれずにわずかながらも食らってしまう。


衝撃波に耐えたティアとナタリアが回復譜術を唱える。
ジェイドは槍を取り出して前へ出た。




お互いに満身創痍だった。


先に回復した俺とアッシュが剣を構える。

まだ行ける、大丈夫だと必死に自分に言い聞かせた。



ヴァンは笑ったまま。


「ふっ、だいぶ辛そうだな」
「てめぇが言えた義理かよ」


ヴァンの言葉にアッシュが噛み付くように言う。

その間にガイとアニスも回復して臨戦態勢に入った。


「私には膨大なローレライの力があるからな」
「それを御しきれていないのもまた事実でしょう?」


ジェイドがいつもより少し硬い口調で話す。


「力があるならその傷を今すぐ治せるはずですからね。そのうち身体そのものが耐え切れなくなりますよ?」


その言葉にも不適な笑みを崩さないヴァンにティアとガイが叫ぶように言う。


「兄さんもうやめて!このままじゃ兄さんが・・・!」
「死んだら元も子もないだろう!?ヴァン!!」
「今更んなこと言って通じるわけねぇだろうが!!」
「でも・・・!」
「アッシュの言うとおりだ。預言を消す為ならば私の命など些細なもの」


2人に怒鳴ったアッシュの言葉をヴァンは肯定する。
そのなんでもなさそうな応えにアニスとナタリアが食いかかった。


「そんなのおかしいよ!」
「そうですわ!預言はもう外れ始めているというのに、これ以上誰かが犠牲になる必要がどこにありますの!?」
「そのような言葉は綺麗事に過ぎん!!」



綺麗事。


確かにそうかもしれない。


「・・・それでもっ」


それでも、“彼”のような犠牲はもう欲しくない。




「俺はアンタを止める!!」
「小賢しい!!」



ヴァンがもう一度大技を放とうとした。









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