太陽の名前

□0?夢を運んだ少年
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では何故?
しばらくお菓子を見つめるセフィロスと首を傾げるティーダという異様な光景が続いた。





「そいつは間食があまり好きじゃないらしい」
「へ?」



そんな所に声がかかった。
声の方を向けば見慣れた人物が2人。



「アンジール、ジェネシス…」
「2人とも上がりッスか。…ていうか間食?」
「必要最低限の栄養が取れれば食事は十分なんだそうだ。…生活面に限らないが」
「子犬がいれば口にするようだがな」
「あ〜」



ティーダは2人の説明に納得した。
そういえばお茶会の時も最初はただいただけだったのにいつのまにか食べ始めていたのだ。おそらく隣にいたザックスに促されたのだろう、彼は恋人に甘い。


うんうんと頷くティーダに対して、セフィロスは眉間にシワを寄せて2人を睨む。
ジェネシスは楽しそうに笑い、そんな2人にアンジールがため息をついた。



「だから筋肉がっちりの割に細いんだなぁ。ザックス以外に楽しみとかないわけ?」
「趣味ぐらい持てばいいものを。休みも結局子犬から離れないから休暇は一緒にされているらしいな」
「マジで!?ちょっと自重しろよ!」
「………お前に言われたくはない」



ジェネシスのからかい半分とティーダの天然にセフィロスは遠い目をした。
アンジールも今度は苦笑してしまう。



「そう無理を言うな、2人とも。セフィロスなりに気にしてはいるだろう」
「それも子犬がいるからだろう」
「……まぁ、それを言えば元も子もないな」



結局、すべてはザックスに行き着くのがセフィロスである。



親友たちが出した結論に眉間のシワを深くするセフィロスを余所に、ティーダはアップルパイを一つ取り出す。
フォークで一口大を取り彼に差し出した。



「………食べろと?」
「あったりまえ!ちょっとくらい間食した所でそんな変わんないって。むしろ少し太れ」
「それはお前の恋人に言う台詞じゃないのか?」
「まぁ確かにクラは痩せすぎだよなぁ…。て、話そらさないで食えよもう!」
「ぐっ」
「てぃ、ティーダ…」
「…英雄相手にそんな真似が出来るのはお前と子犬くらいだな」



焦れったくなったティーダはフォークを彼の口に問答無用とばかりに突っ込んだ。

アンジールどん引き。
ジェネシスは愉快だとばかりに笑っている。



さすがに観念し咀嚼を始めたセフィロスに満足気に笑い、ティーダは彼の前のテーブルに残りを置いた。

それから更に紙袋から小包を3個取り出した。1個はセフィロスのと並べる。



「それザックスにも渡しといて。どうせ今日明日離さないんだろ?こっちは2人の分な!」
「ああ、ありがとう」
「ふむ。味は確かなんだろうな?」
「セフィロスが無言で咀嚼してるから大丈夫」
「………(むぐむぐ」



彼はいつのまにか残りのアップルパイにも手を出していた。





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