太陽の名前
□01:生きるという決意
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ぴぃーーーー・・・
港の海に指笛の音が響く。
できるだけ長く続くように、息を吸うときは思いっきり。
ぴぃーーーー・・・
この音が、彼女に届くことはないけれど。
「ティーダーーー!!」
不意に、誰かが呼ぶ声がした。
海から視線を逸らして振り返ると、子供が何人か走ってくる。
“今”の自分とちょうど同じくらいの歳。
「どうかしたのか?」
走り寄ってきた皆に尋ねた。
先頭だった2人が答える。
「この前のすっごいシュートもっかい見せてくれないか!?」
「他の皆も見たいんだって!」
興奮した様子の彼や他の皆が期待のこもった目でオレを見ている。
これは期待に応えないとな!
「いいッスよ!」
「「「やったー!!」」」
オレは足元に転がしておいたボールを手に海に向かって駆け出した。
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