自分が何時、

何処で死ぬかなんて

気にもならないでいた。



君に、恋をするまでは。





■■ promise ■■




突然の敵襲。

相手は暁。


しかもあの自来也様を倒した奴で。



目立つ動きはその陰に九尾を探す捜索役を隠す為なのが容易に知れる。
だから陽動には目もくれず、必ず居る筈のそいつを探しに向かっていた。






瓦礫と化した街を抜け、遥か遠くに見覚えのあるあの黒いマントを見つけた時、

その男の向こう側に見えたあの人の姿に、身体中の血が一瞬にして凍るのを感じた。




どうして彼が此処に――?



奥歯を強く噛み締めながら彼の元へと飛ぶ様に急ぐ。

あの人の足元には負傷者と見られる同胞の姿があった。




ああ、仲間を助けようとしていたのか。
なんて彼らしい。



そう思うのと同時に、地面に伏している男へ嫉妬にも似た感情が沸き起こる。






暁の狙いは間違いなくナルトの中の九尾だ。


木ノ葉の忍であれば当然な事ではあるのだが、あの人の場合ナルトの居場所を話す位ならその場で自害するだろう。
それは術で記憶を覗かれたりするのを防ぐ為。

あの人はその地位に反しナルトに関する情報を知り過ぎている。
そして彼では暁の術に対して敵う筈も無く。


本人もそれ位の自覚はある筈だ。


だから間違い無く、あの人は自ら死を選ぶ。






黒マントが彼に向かって片腕を振り下ろすのと、俺がその腕を止めに入るのはほぼ同時だった。


間一髪。



「カカシさん」


間に合って良かった。
彼はまだ生きている。

こんな時でさえ、この人の声は俺の心を温かくしてくれる。



「ここは俺に任せて」



貴方の事を軽んじている訳じゃない。
でも、貴方を必要としている場所はもっと別の所に有る筈だ。

そう。
ここは俺に任せて、
貴方は貴方の戦場へ。




――でも、叶うのならば。

貴方だけは、生きていて。








まず土遁で壁を作って奴を追い込んだ。

だがその隙を突かれ先程あの人に向けられた黒い刃が左肩に突き刺さる。
刀身から流れ込む不快な違和感にチャクラを乱され、発動した雷切は難なく躱されてしまった。

何かがおかしい。
普通の相手では無い。

そんなのは分かってる。


だって相手はあの三忍の一人を亡き者にした程の手錬なのだ。



「コピー忍者のはたけカカシ…会えて光栄だ」



もしかしたら。


「九尾はどこだ?」



自分の力では勝ち得ない相手なのかもしれない事も


「愚問だな」



勿論、分かっていて。




「…ココで死んでちゃ、カッコ悪くてイルカせんせに顔向けが出来ないよねぇ」




そう小さく呟いて、もう一度右手にチャクラを込めた。











――ねえ、先生。
このゴタゴタが片付いたら。



何時もみたいに笑って

『愛のチカラで貴方の危機に間に合いましたよ』って言うからさ。




アンタも何時もみたく顔真っ赤にして

『馬鹿言ってんじゃありません』って、俺の額を小突いてよ。







生きて必ず、

貴方のトコロに還るから。





ね、いいでしょう?

約束して?


イルカ先生――。



end


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