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□衝動
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6月、梅雨に入って湿度も上がり蒸し暑くなっている今日この頃。
最近降り続いている雨は今日も続き、外出するはずだった海吏達を家の中へと留まらせていた。


「あっつ…」


雨の所為で洗濯物が部屋干しになり、部屋の湿度がさらに上がったことに、海吏はイラついていた。
若干湿っぽい髪の毛を左側に流す。


「う〜…」


左側に流した髪の毛に手櫛を通すが、湿気などで絡みついた髪は通す事を許さない。
右側に腰を下ろしていた臨也彼女の一連の行動をじっと見つめていた。


「海吏」

「ん?……っ!!」


海吏をずっと見たいた臨也だったが、一体何を思ったのか、彼女が臨也の方を向いた瞬間、彼女を押し倒した。


「い、臨也…?」

「ねぇ…」


いきなりの展開に戸惑いを隠しきれていない声色だったが、押し倒した拍子に頭でもぶつけたのか、その顔は少し歪んでいた。
そんな海吏に臨也は問いかける。


「かんでもいい?」

「……え?」


臨也は海吏の返事を待たずに白くて綺麗な首筋に顔を埋め


「っ……」


歯を当て、力強く噛み付いた。
臨也的に、別になんの理由があって噛み付いた訳ではない。
ただ衝動的に、噛み付きたいと思ったからしただけの事だった。


「い、臨也…痛い!!」


声を殺していた海吏も食いちぎる勢いで噛み付いてくる臨也に、さすがに声を上げた。
その声に、彼女の抵抗を防ぐ為に床に押さえつけていた手と、首筋を噛んでいた歯をゆっくりと離し、噛んでいた場所を見る。
白い首筋に、くっきりと歯型が残っていた。


「ど、したの…?」

「ん?」

「こんな事、今までなかったから…」

「うん。別に意味は無いよ」

「…え?」


痛い思いをした海吏にとってこの答えは少し、いや、かなり不服だったに違いない。
その証拠に彼女の顔が少しだけ歪んでいる。


「綺麗な首筋を見てたら、噛み付きたくなっただけ」


臨也はそう言って海吏の頭を愛おし気に撫でた。
彼女は、自分の顔が少し緩んだ事に気付かなかった。








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