Storys
□CLAP!
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桜舞い散る中にはつらつと響く君の笑い声
目も眩みそうな白い吹雪の狭間それを頼りに君を捜す
「先生っこっちよのさ!一番おっきくてきえいなのっ」
昨日の買い物の帰りに見つけてきたという一際大きくて綺麗な桜
絶対私にも見せるんだと半ば無理矢理に連れてこられた公園
あまり季節を感じさせるものが何も植わっていないあの岬にいては決して見られない春の風物詩とも言えるべき花は丁度満開を少し過ぎたところで
枝一杯に咲かせた花をそよ風に散らし始めていた
「もうっ、先生ったや!聞いてゆの?」
コートの裾をくいと引きピノコが少しむくれた顔を向けていた
「あぁ、すまない。あまりに桜が見事だったんでな」
「へへー、しゅごいれしょ?」
平日ともなれば花見にくる人も疎らで煩い酔っ払い客に気分を害することもない
「先生ってば咲いてゆ花が好きなんらよね。らかや先生さくやらいしゅきれしょ?」
「どうしてそう言い切れるんだい?」
確かに桜が好きなのは本当だが自信満々に言うピノコにブラックジャックは不思議そうに尋ねた
「らってさくやはらえもつんじゃおうって思わないれしょ?ピノコも思わないのよさ。らかやなのよさ」
誰にも侵されず自分の思うがままに咲いて風に吹かれるままに散っていく…
「なんか先生みたいなのよさ」
「私がかい?やめてくれ」
いい年の男が花に例えられるなんて恥ずかしいじゃないか
それに花ならもっと相応しいのがすぐ傍にいる…
照れ臭くて口に出しては言えないが
「おいでピノコ。もっと近くで見せてやるよ」
駆け寄るピノコを抱き上げて肩車すると間近で見る美しさにキャッキャと歓声が上がった
「くもかや花びやがふってゆみたい!しゅごい!」
弾んだ声で言いながらピノコはギュウッと彼の頭に抱きついた
「先生あいがとらいしゅきっ!」
降り注ぐキスの嵐にやめなさいと言いつつも目を細めてそれを甘んじて受ける
そんな春真っ盛りなある日
END
ジャピノSSでした。春に甘々ラブラブさせてみました。