長編小説
□センセーのお手本
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俺は、ときとしてとんでもないお馬鹿になる。
や、普段はアタマめっちゃいーんだよ。
いつでも何があってもスーツを爽やかに着こなして、廊下で爽やかに(と思ってるあたり末期)革靴を鳴らす俺。
大学だって日本のトップクラスの大学出たし、このご時世で23歳でもう収入も安定した。
悪いけど、俺はかっこよすぎて自分で自分を持て余している。
そもそも採用試験受かっても採用されねーからな、普通!
なんたってここ、県下イチのトップ私立高校だし。
並みの教師じゃねぇんですよ。
‥なんて、実にエリート街道まっしぐらな俺。
…なんだけど。
俺は、どうも奴が絡むと、何もうまくいかないただのウマシカになる。
奴って誰かって?
決まってるじゃあないですか、俺の順風満帆人生をつまようじではしっこからツツキ落としてる奴だよ。
つまようじってマジでタチが悪い。
ハンマーで思いっきりぶっ叩いてくれれば、俺のピンチに周りも気付いてくれるのに、地味なあいつは地味な攻撃しかしてこない。
はいみんな気付かなーい。
俺は地味にやられっぱ。
ほーら今日も、なんかぷりぷりしながら来やがった。
「晃一、タバコやめて!印刷室超くさい」
高梨直、23歳。
俺と同い年、同じ高校に赴任することになった、――小学校時代からの幼なじみ。