01/03の日記
00:15
この頃流行りのA-Boy閑話休題
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「あ〜、六道君だ。カッコイイ〜」
「ホント、本読んでるだけで絵になるよね〜」
「何読んでんのかな?」
「きっと、私達には分かんないような難しい本じゃない?」
同じ学年の女子が入口付近でキャイキャイと話し合っているのを遠くに聞きつつ、僕は図書館の片隅で本を読み続ける。
黒いカバーの掛けられたソレは確かに彼女達にとって理解に苦しむ代物であることに違いない。だがしかし、別にニーチェやシェイクスピアなど小難しい物でもなく…。
題名は『ツナの世話について』である。勿論、鮪の飼育方法が書かれている訳ではない。
ツナはツナでも沢田綱吉。あのアルコバレーノの弟のことだ。
名前、生年月日、血液型に始まり、食べ物の好みまでこと細かに書かれたソレには、大手ゲーム会社で日夜攻略本作りに身を捧げている人々も色んな意味で真っ青になること請け合いだ。
わざわざパソコンで打ち出した文面を綴じ合わせ、しっかりと装丁までしてあるという念の入れようには流石の僕もゲンナリ気味である。
『暇なときに少しずつ作ってたら止まらなくなっちまったんだ…』
何処か得意げに語る彼に、僕が皮肉を込めて、
『もう、いっそ売り物にしたらどうですか?』
コミック即売会にでも持って行けばいいじゃないですか…。
そう呟くと、ギロリと睨まれてしまった。
『馬鹿野郎!俺の、ツナの全てが記された究極のコンプリートガイドを同人誌感覚で売れる訳ねぇだろ?馬鹿か、おめぇは?』
半ば呆れた調子でそう言われてしまった。僕よりも数段馬鹿のような発言を重ねるブラコン男に馬鹿と、二度も…。あれは人生最大の屈辱であった。
ツンデレ系の勝ち気な女子に『アンタ馬鹿ぁ?』と言われる分には問題ない。寧ろ萌えるが、二十歳越えた成人男子に言われたところで憤りは覚えど、萌は生まれない。
寧ろ生まれたら困る。僕の性癖を一から見直さねばならなくなってしまう。
全くBLなんて冗談じゃない。ただでさえ人目も憚らずにイチャイチャと気色の悪い兄弟に、腐男子ではない僕はグロッキー状態だとと言うのに…。
憤りは次々に生まれ、しかも方向が逸れてゆく。
その事実にも気付かぬまま、それでも熱心にページをめくる手を止めない僕は一体何なんだろうと、深い深い溜息を吐き出したのだった。
続く?
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