Special Novel
□赦されざる者と赦す者と…
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天に坐ます我らが神よ…
どうかどうかその慈愛をもって
哀れな子羊を救い給え
アーメン
§
ある小さな町の小さな教会では朝のミサが執り行われていた。
「始めに神が天地を創造された。地は混沌としていた。………えっと、なんだっけ…?」
先日、神父になったばかりのあどけない顔立ちで呟く少年に、それまでの厳かな空気は何処へやら…礼拝客達はドッと笑い出した。
途端パイプオルガンの前に腰掛けていた、もう一人の青年神父が懐から取り出した聖書を少年神父に思いきり投げ付けた。
見事後頭部にヒットした少年は「ギャ!?」と短く悲鳴を上げて演説台に突っ伏してしまう。
とても神に仕える身とは思えぬ所業だが、彼は知ったことかとばかりに鼻を鳴らすとピクピクと震えている少年に歩み寄り、その長い足で力一杯背中をどついた。
「テメェはっ!まだ、そんくれぇのことも覚えらんねぇのか!?こんのダメツナっ!!」
青年に、ガスガスと容赦なく背中に蹴りを入れられ「ヒィッ!?」と悲鳴を上げるダメツナこと綱吉、通称ツナ。
とても教会の中とは思えないバイオレンスな光景に、だが礼拝客達は慣れているのか。皆、声を上げて笑っている。
「だって、覚えられないもんは覚えられないんだよぉ!!…ちょ、痛!痛いって、リボーン!」
泣きながら訴えるツナにリボーンと呼ばれた青年は「先輩をつけろ!」と怒鳴り、最後にガツッと頭にチョップを決めた。
そのクリティカル級のヒットにツナはふらりと体を揺らすと、パタリと倒れてしまった。
礼拝客が帰り、静けさを取り戻した教会内でツナは恐る恐ると後頭部に手を伸ばし「うっ」と呻いた。
「うぅ、コブになってんじゃん…リボーンの鬼神父…「俺がどうしたって?」
噂をすれば影とはよく言ったものだが、全くその通り。絶妙なタイミングで現れた鬼…もといリボーンにツナはギクリと体を強張らせた。
「あはは…な、何でもないよ。り、リボーンこそ、どうしたの?その荷物…」
必死に話題を逸らそうとした彼は、リボーンの両手に抱えられた旅行用の鞄に気付き、そう尋ねた。するとリボーンは小さく舌打ちしつつも質問に答えた。
「ちっと遠方の街で教団の会合があってな…。ニ、三日の間、留守を頼むぞ」
「会合…?また聖書の内容についての協議とか?」
訝るツナに、リボーンは「違ぇぞ」と首を左右に振り、唐突に声を潜めた。
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