01/04の日記

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この頃流行りのA-BoyB
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「あ、六道さん…おかえりなさい……」

玄関の扉を開けた瞬間、ボソリと声を掛けられてハッと顔を上げれば、居候−沢田綱吉がペコリと頭を下げるところだった。

どうせなら可愛いメイドに出迎えて貰いたいところだが、流石にそれは高望みというものだろう。しかし、これはあんまりだとも思う。

日にもろくに焼けていない不健康そうなモヤシっ子。オマケに陰気+黒縁眼鏡+地味顔とは……。

メイド・巫女・ナースを萌えの三大要素と定義するなら、これは間違いなく萎えの三大要素であると言ってもいい。

まぁ、そもそも僕は男に興味などないので、どうでもいいことではあるのだが…。

唯一の救いはひかえめで自己主張をしない性格と、空気のような存在感のなさだけだ。

どうやら荷物整理の途中だったらしく、足元に置いてあった小柄な体には大きすぎる段ボールを持ち上げてヨロヨロと歩き出す彼から視線を外し、擦れ違ったときだった。

「ひゃあっ!?」

素っ頓狂な悲鳴に振り向けば、見事に箱の中身をぶちまけ、俯せにすっ転んだ沢田綱吉の姿があった。

鈍臭いにも程がある。呆れつつも近くに転がっていた黒縁眼鏡を拾い上げて差し出す。

相手は長い前髪の下からチラリと僕の手元を見ると、ひったくるように眼鏡を奪い取ってしまう。

何だ、その態度は?

思わずイラッとして舌打ちすると、眼鏡を掛け直した彼が、慌てて頭を下げてくる。

「あ、す、すみませ…お、俺…眼鏡ないと、落ち着かなくて…その……」

しどろもどろに紡がれる謝罪にさえ、妙に苛立つ。

「…そうですか。別にどうでもいいですが、散らかした物は元通りに片しといて下さいね」

素っ気なく言ってクルリと踵を返すと、背後でクスンと鼻を鳴らすような音が響いた。全く、一体何だと言うんだ?

§

『あぁ?おめぇ、またツナ泣かしたのか?…マジで殺すぞ』

煩い、黙れブラコンめ。わざわざ海外から電話を掛けてきて、要件はそれだけしかないのか?

「勝手に泣くんです。僕にどうしろと…?」

右手でキーボードを打ち、チャットに参加する片手間で会話を続ければ、電話口で相手がハァと溜息を吐く気配。

『おめぇな……』

アルコバレーノが何か言いかけたときだった。

「六道さん、お風呂空きましたけど……」

ガチャリと背後で扉が開く気配と共に、そう声を掛けられる。

『ツナか!?…ツナに代われ!!』

そんなに大声を張り上げるな、耳が痛い。

僕はキーンと痛む耳を片手で押さえつつ、ヒョコヒョコと近寄ってきた沢田綱吉に携帯を差し出す。

大判のタオルを頭から被り、熱気に曇った眼鏡を掛けた彼は、不審者じみているなと思いながら…。




続く?

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