01/24の日記

15:24
この頃流行りのA-BoyE
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今、僕の部屋では緊急集会が開かれていた。

「…いかが致しますか?骸様」

常に感情に乏しい表情のニット少年はだが神妙な面持ちで眼鏡を押し上げながら、こちらへと視線を向けた。

それに一旦制止を掛けて、千種の隣へと目を映した僕はそこに実につまらなそうな顔でボーッと宙を眺めている馬鹿者を見つけ、思わず一喝していた。

「聞いているんですか!?犬!?」

「ギャキョン…っ…!!?」

勿論鉄拳制裁つきだ。

派手に跳ね回った金髪頭を容赦なく殴り付け床へと沈めれば、相手は殴られた後頭部を押さえつつ、恨めしげにこちらを見上げてくるが、知ったことか!

「犬、千種……明日は何の日か、そして今日の緊急集会は何の為に開かれたか…お前達はちゃんと理解していますか?」

腕を組み威圧的に見下ろせば、二人は揃って背筋を伸ばし、「はい」とそれぞれに頷いた。

「……明日は『とき○きメモリアル』の発売日…それに加え、限定版BOXも売り出される日です…」

キチンと洩れなく答えたニット少年−柿本千種。

「そんれ…先着順100名、しかもお一人様一個限りの限定らから、その対策を練る為に集まったんれすよね?」

ふわぁ…と眠たげに大欠伸をしながら、そう続けた金髪少年−城島犬の口に彼持参のP○P を押し込んでやろうかと思ってしまう。

千種、犬は僕の幼稚園時代からの幼なじみであり、ともにオタク趣味がある為、オープンに付き合える数少ない友人である。

千種は僕と似通った趣味の持ち主であるので、意思疎通に苦労することはないのだが、犬の方はというと、オタクというよりはゲーマー色が強く、恋愛系の漫画やゲームにはあまり興味を示さない。

ある意味では健全な彼だが、僕にとっては、その温度差が度々苛立ちの種となってしまうのだ。今だって……。

「あ、危ないびょん!…ちっくしょー、このグラビめっ…!!」

僕の話よりも狩りが大事ですか…この犬畜生は。改造クエストで大量の麒○に襲い掛かられて死ねば良いのに……。

「犬、今すぐゲームを止めなさい。そして真剣に話を聞きなさい。さもなくば、お前のメモリースティックを本体ごと破壊しますよ…?」

頭の中のメモリースティックも破壊して差し上げましょうか?

脅すように低い声で呟けば、犬は顔を青くして、ようやくP○Pの電源を落とした。

「骸さんは鬼だびょん…」

あとちょっとでクエストクリアだったのに…と恨みがましく呟く声を無視して、僕が説明を続けようとしたときだった。

ふと扉の方から視線を感じて振り向けば、薄く開いた扉の間から僅かに顔を覗かせた沢田綱吉の姿があった。

どうしたんですか?と視線で問い掛けるが、彼は何も言わず、困ったような表情で犬と千種を代わる代わる見つめるだけだ。

僕に用があって部屋を訪ねて来たはいいものの、見慣れぬ連中も共にいるので戸惑っている、というところだろうか。

今日僕が二人を連れて帰宅した際に、彼は珍しく出迎えてくれなかった。恐らく風呂掃除でもしてくれていたのだろう。(最近彼は積極的に家事に関わってくれるので僕も助かっている)

それはともかくとして、いつまでも待ちぼうけさせておくのも忍びない。かと言って、彼を部屋の中に招くというのはマズイだろう。

彼は極度の人見知りだ。初対面の人間が二人も居るところになど居られる訳がない。

僕が逡巡している間に、犬が彼の存在に気付いてしまったらしい。「んぁ?」と声を漏らし、扉の陰で身を縮めている彼を睨むように見つめる犬を僕が諌めようとした、そのときだった。

「なんら、お前?…んなトコに突っ立ってねぇで入ってくりゃイイびょん」

言いながら手招かれた彼は戸惑いながらも部屋の中に入ってきた。

「…見ない顔……誰…?」

ビクビクと落ち着きなく辺りを見回す彼に気付いた千種は、興味深そうに相手を見つめる。

「その、彼は……「お、俺…」

僕が何と説明すべきか迷っている内に、彼は戸惑いがちにではあるが口を開いた。

「お、俺は…沢田綱吉…です。その…ここに居候させて貰ってるんですけど……」

はっきり言って予想外だった。

あの短気で粗暴な犬が初対面の相手に喧嘩ごしな態度をとらなかったことが。

あの他人に無関心な千種が沢田綱吉に興味を示したことが。

なにより人一倍人見知りで臆病な沢田綱吉が、初対面の相手に返事をしたことが。

「んじゃ、お前もここに居りゃいいびょん。骸さん、構わないれすよね?」

「…勿論ですよ」

どうしたことだろう。なんだか少し気分が沈んだようだ。

「骸様、どこか具合でも…?」

「いえ、別に……」

彼が千種の横に座っただけで、胃の辺りが鉛でも飲まされたかのように重くなった気がした。




続く?

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