11/19の日記
13:43
城塞都市にて
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その後、俺達は城塞都市であるセントビナーに着き、マルクト軍の詰め所へと向かった。
会議室には歳老いて髭を蓄えた背の低い老人と白銀の髪を後ろに撫でつけた壮年の男性がいた。
老人は骸を一目見るなり「おぉ」と嬉しげに破顔した。
「久しぶりじゃないか、骸坊や」
「お久しぶりです、マクガヴァン元帥。こちらにダアト教団の者が参りませんでしたか?」
丁寧に腰を折り、尋ねる骸に老人はフムフムと頷き、隣に立つ男性へと向き直る。
「ほれ、お前確か書簡を預かったじゃろ?それと骸坊や、儂はもう既に軍から退いた身。元帥は止めてくれ」
「クフフ…これは失礼。しかし、言わせて頂くなら僕ももうイイ歳ですし“坊や”は止めて頂きたい…」
「儂から見たら、お前さんのような若造は坊やで充分じゃよ」
楽しげに歓談する彼等の横で、男性は居心地悪そうに咳ばらいをした。
「ゴホン…大佐、こちらがお預かりしていた物です。失礼ながら中身を改めさせて頂きましたよ」
差し出された手紙を受け取った骸は笑顔で快諾する。
「構いませんよ、読まれて困るようなことは書いてないと思いますし…」
そして、暫く無言で手紙に目を通した後、フムと頷いた。
「マーモンは先に第二地点に向かったようです、そちらで落ち合いましょう」
「第二地点って何処だ?」
素朴な疑問をぶつけた山本に、骸は答える。
「国境の町、カイツールです。それから、はい綱吉…どうやら半分は君宛てのようです」
言って手渡してきた手紙を読む。
「えっと…『骸大佐へ、色々と苦労したけど、例の物はしっかりと守り抜いたよ。報酬は弾んでもらうからね。それから、綱吉は元気にしてる?セクハラとかされてない?心配だよ、早く会いたい…』…あはは、照れるな…」
困惑しつつ頭を掻けば、山本に軽く肩を小突かれる。
「熱烈だな〜♪ハル王子が妬くぜ?」
「べ、別にそんなんじゃないってば!それにハルだって勝手に言ってるだけだし…」
赤面して言い返す俺を、ラルが睨むように見つめた後、フイと顔を逸らして言った。
「では先を急ごう。あの小僧のことだ、滅多なことはあるまいが、早く合流しよう」
「?…ラル?」
俺、なんか怒らせるようなことした?視線で尋ねるとラルの顔が僅かに紅潮した。
「そ、そんな上目遣いで見るな!貴様、俺をからかっているのか?」
「え?からかう?何言ってんの、ラル?」
「ともかく、黙れ!見るな!…俺は先に外に行くからな」
相変わらず不機嫌なラルを俺は首を傾げつつ、見つめるしかなかった。
続く
後書き↓
ようやくセントビナー到着。マクガヴァン親子は適役がいなかったので、そのまま。
ディストは、決定しました。ちょっと危ない匂いのする眼鏡のあの方です(笑
次回をお楽しみに♪
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