03/06の日記
22:28
骸大佐の音素教室
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平原を越えてフーブラス川の川岸にやってきたところで不意に骸が足を留め、話し掛けてきた。
「ところで綱吉、君はどうやら音素を使い熟せていないようですね?」
唐突過ぎる言葉に俺も足を留め、相手を振り返った。
「え?音素を使うのは音素士の役目じゃないの?」
首を傾げる俺に骸はわざとらしく肩を竦めた。
「全く…君の先生は力押ししか教えてくれなかったのですか」
馬鹿にしたように言われて、思わずムッとする。俺はともかく師匠を悪く言うなんて許せない。
「俺には必要なかったから教えなかったんだよ。師匠を悪く言うな」
ムキになって言い返せば骸は何処か面白くなさそうに、溜息を一つ吐き出し「まぁ、いいです」と話を切り替えた。
「ともかく実戦で試してみるのが早いでしょう。どうやら君は頭より体で覚えるタイプのようですし…」
言った骸は近くを跳ね回っている大きなオタマジャクシみたいな魔物を指差した。
「お誂え向きに魔物も居ることですし…ラル、補助を頼みますよ」
そう話を振られ、ラルは一瞬キョトンとしていたがやがて静かに首肯した。
「では、まずFOFについて説明しましょう。音素にはそれぞれ属性があるのは…ご存知ですよね?」
いちいち馬鹿にしてムカつく!
「知ってるよ。確か地、火、風、水、光、闇…だよね?」
前に月の覚え方と一緒に師匠に教えて貰った知識を総動員して答えると骸は満足げに頷いた。
「その通りです。そして音素にはそれぞれ対応した色があります。火なら赤、水なら青と言ったように…ラル、お願いします」
「あぁ…」
短く応えたラルはロッドを振り、地面に円陣を出現させた。
「これがFOFです。色が付いていないものには何の効果もありませんので、気にする必要はありません。ラル…」
「…分かった」
再びラルがロッドを振ると円陣に緑の色が付いた。
「このように色を帯びたFOFには属性変化の効果があります。その中に入って対応した術技を使うと技が変化します。試してみて下さい」
言われた俺は恐る恐る中に入り、師匠に最初に教えて貰った技を使う。
双牙斬を使うつもりだったんだけど、身体が勝手に違う動きをする。
「喰らえ、雷撃…襲爪雷斬!」
跳び上がると同時に振り上げた剣に雷が纏い付き、振り下ろすと稲妻となって魔物を襲った。
「うわっ…すごい…」
一撃で倒れた魔物に驚いて声を上げた俺の肩を骸がポン、と叩いてきた。
「上出来です。これからは魔物も強くなってきますし、音素の扱いは重要ですからね」
「あぁ、教えてくれて、ありがとな?」
そう笑えば骸の眼鏡の奥のオッドアイが僅かに見開かれた。
「…っ………」
何故か口元を手で押さえて後退る彼に俺は首を傾げる。
「骸、どうかした?」
心配になって歩み寄れば、寄るなとばかりに片手を突き出して制止されてしまう。
「な、なんでもありませんから…不用意に近寄らないで頂けますか」
そう素っ気なく言われてムッとした俺はべーっと舌を出して、山本に駆け寄って腕を掴む。
「ねぇ、山本。見ててくれた?」
そう尋ねれば山本はにこやかに笑って俺の頭を撫でてくれた。
「あぁ、カッケかったぜ、ツナ?」
惚れ直したのな、と歯を見せる彼に照れ臭くなって、俺は頭を掻いた。
「へへ…そう?」
そんな風に和やかに会話をしている俺達を突如間に入ってきた骸が引き剥がす。
「はい、イチャイチャしてる暇はありませんよ?先を急ぎましょうか」
「ちょ、いきなり何するんだよ?」
「ハハ、男の嫉妬って見苦しいぜ?大佐?」
憤る俺とは対照的に山本は余裕の表情で笑う。
そんな山本に骸は瞳を僅かに眇めた。
「…君の無駄口は癖なんですか?止めて頂きたいですね、癇に障ります」
「大佐には言われたくないのな…ツナのことあんま虐めんなよ、俺の大事な親友なんだからさ」
山本には珍しく笑顔を消して相手を睨め付ける。骸も山本を射殺しそうな目で睨んでいた。
「…はぁ、なんと露骨な奴らだ……」
付き合い切れないと肩を竦めるラルの横で隼人君は溜息を吐く。
「綱吉さんって、無自覚にモテんのが厄介だよな…」
一人置いてけぼりな俺は訳が分からず首を傾げるだけだった。
続く?
後書き↓
滾るぜ!兄貴な山本とツンデレな骸。そして無自覚お姫様なツナ…ハスハス…
早く続き書きたひです…
☆コメント☆
[みき] 03-07 02:36 削除
やばひ…「山本→ツナ←骸」に激しく萌えたorz///
続き楽しみにしてまふ´ω`
[堕天神アルファ] 01-15 07:28 削除
うぉおおおお!!三つ巴(?)に激しく萌えております堕天神アルファです。
続き楽しみにしてますので連載頑張って下さい!
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