03/09の日記
00:38
大譜歌とユリア
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ラルの譜歌によって現れた光の障壁が消えると、地震と障気はすっかり収まっていた。
「すごいや…」
感心して呟く俺に山本も頷いて同意する。
「あんた、やるのな〜。一体どんな手品だ?」
尋ねる山本にラルは手品ではない、と吐き捨てる。
「地震と同じ固定振動数を与えて、一時的に揺れを止めただけだ。長くは保たない。早く逃げるぞ」
そう急かされて、俺達は走ってフーブラス川を抜けた。
「さて、そろそろ話して頂きましょうか。何故ユリアしか使えなかったと言われる譜歌を君が知っているのか…それから大譜歌についても…」
ようやく落ち着いた頃、平原を歩いていた足をピタリと留め、そう問い掛けた骸にラルは一瞬口を噤んだ後、答えた。
「それは俺がユリアの子孫だからだ…大譜歌については、俺も詳しくは知らない」
「…大譜歌って?」
そう尋ねた俺に答えてくれたのはバジル君だった。
「ユリアの譜歌は全部で六つあり、その全てを繋げて歌うことで大譜歌となる、と以前に書物で読みました」
そんな説明に山本は感心したように頷く。
「本当にすっげぇな〜…てか、ユリアの子孫ってマジかよ?」
「…らしい。代々俺の家にはユリアの譜歌が伝えられている。尤も意味と象徴を知らねば、ただの歌だ。今はまだ研究中のものも多い…」
そう言葉を締め括ったラルに骸もようやく納得したように、ふむ…と呟く。
「なかなか興味深い話を聞かせて頂きました。どうも有難うございます」
そう胡散臭い笑顔で言った骸にラルは不快そうに鼻を鳴らした。
「ならばもう行くぞ、あの小僧が待っているのだろう?」
そう言って歩き出すラルに異義を唱える者はなく、皆彼の後に続いたのだった。
続く
後書き↓
やっとカイツール手前…道程は遠いぜ…orz
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