04/04の日記

21:34
飛び交う火花
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でも、やっぱりおれの気のせいや勘違いではなかったらしく、山本は刺々しい態度を崩そうとはしなかった。

「空気読めっつってんのが、分かんねぇのかよ?」

山本には珍しく吐き捨てるような口調にも、師匠は動じることなく返した。

「心外だな、山本。おめぇに空気読めなんて言われた日にゃあ死にたくなるから止めろ」

明らかな皮肉に、山本は黒い笑みで応えた。

「んじゃ、死ねば良くね?」

流石にそれは言い過ぎだ、と俺は慌てて睨み合う二人の間に割り入った。

「ちょ、山本!何言ってんだよ?リボーン師匠も、どうしちゃったんですか?」

代わる代わる二人を見つめる俺を遠巻きに見守りながら、マーモンが溜息をつく気配。

「本気で分かってないよね、あれは…」

嘆息した彼に骸は面白がるように笑う。

「クフフ…なかなか困難な恋路となりそうですが、まぁ頑張って下さい」

無責任に言い放った彼に、マーモンは鼻を鳴らした。

「フン、アンタは高見の見物って訳?…いつまでその余裕が保つか、見物だね…」

そんな冷戦を繰り広げる彼らを横目に窺いながら、隼人君がラルを気遣うように見上げる。

「おい、ラル?顔色が悪いぜ、大丈夫かよ?」

話し掛けられたラルは何処か心此処に在らずな状態で曖昧に頷いた。

「あぁ、隼人か…すまない、何でもないんだ…」

何処を見ているのか分からないラルの目を不安げに見遣りながら、隼人君は溜息を零した。

「…なら良いけどよ」

そんな小さな騒動には気付かず、バジル君がクスクスと笑った。

「フフッ、綱吉はモテモテですね…」

何処までもマイペースな彼は微笑みながら俺を見つめ、小さく肩を竦める。

その頃、必死に止めに入った俺にようやく睨み合いを止めた師匠は苦笑を浮かべ俺の頭を軽くポンポンと叩いた。

「…にしても、危ねぇとこだったな。俺が見付けなかったら今頃どうなってたか、考えただけでゾッとするぞ」

縁起でもないことを言われて、俺も良い気分はしない。最悪、本当に殺されていたかもと思えば、今更ながら肝が冷えた。

俺は心細さを体言するように師匠の服の裾をキュと握り締め、恨みがましい視線を送る。

「う、嫌なこと言わないで下さいよ…」

そんな俺を師匠は何て顔してんだ、と吹き出して頭を優しく撫でてくる。

「まぁ、結果オーライってやつだな。そうだ、皆に話がある。近くの宿屋に来て貰えるか?ラル、おめぇの誤解もそろそろ解いておかなきゃなんねぇからな…」

唐突に話を振られたラルが警戒するように肩を跳ねさせたのが分かる。

ラルって、本当に師匠のこと嫌ってるんだな、と改めて認識した。

「…誤解、だと?」

今にも仕込みナイフに手を伸ばしそうなラルを、バジル君が穏やかに諌める。

「ラル、話を聞きましょう?分かり合える機会を逃していがみ合うのは、愚かなことだと拙者は考えます」

そんなバジル君の言葉にラルは静かに目を閉じ、頷いた。

「…バジル様の御心のままに…」

その答えに師匠は安堵したように頷き、歩き出す。

「んじゃ、行くぞ…」

スタスタと先に行ってしまう師匠に、俺も慌てて追い縋った。

「あ、待って下さいよ!師匠!」

だから駆け出した俺の後ろで骸が呆れたように笑ったことにも気付かなかった。

「クフ、まるで子犬ですね。随分と懐いたものだ…」

揶揄を込めた台詞にマーモンがフッと嘲弄に口を歪めた。

「…大佐、ヤキモチかい?」

皮肉る彼に骸はとんでもない、と肩を大仰に竦めてみせた。

「まさか、ただ興味があっただけですよ。リボーン謡将が彼にどんな躾を施したのか…」

まるで従順な犬そのものだ、と呟いた骸が舌舐め擦りしながら、続けた言葉を勿論俺は知らない。

「…躾てみたいものですね…」

きっと愛しい玩具になってくれるだろう、と嗜虐的に呟いた骸をマーモンが冷たい目で睨んでいたことも。

「アンタね、ドSなのも大概にしなよ…綱吉に妙な真似しないでよね?」

そう釘を差してきた彼に骸は薄く笑うばかりで、何も返しはしなかった。

そんな話を俺はかなり後になって、ラルの口から聞いたのだが、今は知る由もなかった。




end

後書き↓

なんかドロドロしてきましたね…

早くアクゼリュス崩落まで進めたひ…orz

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