04/07の日記

15:18
スカルの強襲!
---------------
そうしてカイツール港にやってきた俺達は思いもよらぬ光景に戦慄した。

倒れた人々、立ち上る煙、機械が焼けたような嫌な臭気が鼻をつく。

「な、にコレ…?」

呆然と呟いた俺に続いて、骸が眼鏡の奥の目を鋭く眇める。

「敵襲か…?」

「…獣の声だ、近いぞ」

言って駆け出すラルに、俺達も慌てて続いた。

するとそこには見覚えのあるライガと青い巨大な鳥が居た。

「あの、魔物は確か…」

ムッと口元を歪めたマーモンは二頭の間に挟まれ、背後に巨大な蛸を従えた少年に向かって叫ぶ。

「このパシリ!何やってのさ、馬鹿!」

「パシリって言うな!」

ムキになって言い返すのは、大きなサングラスを掛け、ライダースーツに身を包んだ少年。

俺達より一足先にやってきて相手と対峙していた師匠が声を上げる。

「スカル!誰の命令でこんなことをしてやがる!?いい加減にしやがれ!」

そんな怒声に、スカルは身を縮ませて申し訳なさそうに俯いた。

「す、すみません…総長…ジョットに頼まれて…」

「ジョット、だと?I世か?あの馬鹿、何を…」

眉を寄せ訝る師匠に、 スカルは再び頭を下げて後退り、傍らの鳥にしがみついた。

「船を整備出来る奴は連れて行くぞ。返して欲しかったら、コーラル城に来い…」

それだけ言い残した彼は鳥に掴まり、空高く飛翔した。

続いて整備士を背に乗せたライガも去って行き、蛸もその後を追った。

「コーラル城か…確か、七年前にツナが見つかったのもあの場所だったな…」

呟いた山本に、俺は驚きの声を上げた。

「え?そうなの?」

「やっぱ覚えてねぇか…屋敷に帰ってきたツナは赤ん坊みたくなっててさ、言葉どころか歩き方すら覚束なくて…弱ったぜ」

まぁ、今となっちゃ良い思い出だけどな、と笑う山本に、何だか申し訳なくなってしまう。

「そうだったんだ、ごめんね…」

「気にすんなって♪俺とツナの仲じゃねぇか」

バシン、と背中を平手で叩かれて、俺は苦笑した。

「…しかし、どうするんですか?明らかにこれは罠ですよ」

飽くまでマイペースを崩さない骸に、バジル君が怖ず怖ずと申し出る。

「参りましょう。整備士の方の安否が気になります」

「だ、そうですよ?どうなさいますか、綱吉?」

何故か急に話を振られて、俺は身構えた。

「な、なんで俺に聞くんだよ?」

「だってスカルが言っていたでしょう?君とバジル様に城に来るようにと…君はどうなさるおつもりですか?」

ようやく俺は納得した。

「…行くよ、敵の狙いは分からないけど、整備士さんが居なくちゃ船も出ないんだし…」

そう拳を固めて言った俺を制するように師匠が肩を掴んでくる。

「駄目に決まってんだろ、馬鹿ツナが…俺が代わりに行ってくっから、おめぇ達はカイツールのマルクト側で待ってろ」

言ってポンポンと頭を叩いてくる師匠に、俺は必死で食い下がった。

「そ、そんな…師匠!」

すると、それまで傍観していた骸が唐突に口を挟んでくる。

「謡将、良いではありませんか、折角この坊ちゃんがやる気になっているのです。任せてみては?」

そう提案した骸に師匠は不愉快そうに鼻を鳴らした。

「馬鹿言うな。ツナにもしものことがありゃあ、家庭教師の俺の首が飛ぶんだ。危ない橋は渡らせねぇぞ…」

「クフフ、過保護ですね。そりゃ、綱吉も甘ったれた性格になりますよねぇ…」

揶揄する骸に師匠は勝手に言ってろ、と顔を逸らした。

「良いな、ツナ?返事は?」

「う、師匠…?」

上目遣いに見上げてみれば苦笑されてしまった。

「んな顔すんな、馬鹿…押し倒したくなんだろが…」

小さく呟かれた言葉に、チッと舌打ちした山本が間に割って入るより早く、骸が俺の肩を抱き寄せた。

「クフフ、こんな子供相手に何をおっしゃっているのやら…まさか、そちらの方も先生だなんて、おっしゃいませんよね?」

抱き寄せられて、骸の胸に頭を預ける態勢になる。あれ、俺、なんで?

こんなにドキドキするの?

こんな気持ちになるの、師匠だけだと思ってたのに、なんで…?

「…気安くツナに触れんな、ナッポー野郎。俺のツナが穢れんだろが…」

厳しい目を向ける師匠に負けじと、骸が前に進み出る。

「おやおや、とうとう『俺の』と来ましたか、このショタコン教師…」

そんな睨み合いがいつまで続くのかと危惧した頃、唐突に腕を引かれ、骸の胸から引き剥がされた。

見上げれば不機嫌そのものなラルの顔。

「あ、ラル…」

「全く、貴様らは何を下らぬことをグダグダと…いい加減にしろ!ツナに心配を掛けてどうする?」

そう叱責された二人は罰の悪そうな顔で睨み合いを止めた。

「あ、悪ぃ…ツナ…」

「僕も、大人げなかったです」

あの最強の二人に頭を下げさせるなんて凄い!

尊敬の眼差しを送れば、ラルはニコリと初めての笑顔を見せた。

「ツナを困らせる輩は、誰であろうと許さん…心配するな、ツナ」

言って頭を撫でてくれたラルに、俺はへにゃりと微笑んだ。




続く

後書き↓

次はいよいよコーラル城へ!ツナ誘拐までこぎつけられるか、ドキドキ中。

前へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ