一人ごと小説

□婚約者、再び
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「ヴォルフ、早く入ってこいよっ!!」

このへなちょこめ。
僕はもう一家臣なんだ。前のように容易に魔王の寝室に入れない。これだからこいつは尻軽なんだ。

ん?何?美子さんが僕に土産げを?


そ、それならば入ってあげない事も…なんせ魔王の母君からの贈り物を受け賜わない訳にはいかないからな。


…そ、それは寝間着。魔王陛下の母君が僕の為に?

何?そして僕の事を家族だと?

ユー…いや陛下の家族?

つまり伴侶…
コイツ遠回しにまたプロポォズをしているのか?

僕は一回婚約破棄をしたのだぞ?
武人に二言は許されないんだ…
許され…ないの…だぞ……
許され…ないの…だが…
許され………
………
……

お、奥手なコイツが此所まで言うのだから仕方ないだろう!!!!

臣下たるもの王の心に従うものなのだ!!!

そうだ!!!

「僕は婚約破棄を更に破棄してやる!!!」


だからへなちょこなお前の側にいてやる。
僕らは再び家族になったのだからな!!


「あっこら!!!何故逃げる!?待て!!!!ユーリ!!」
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