05/11の日記

23:14
故郷
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果てしない荒野を かけるその背中は
どこか淋しげで  強くも見えた



剣を握り締め   振り上げるその決意
悲しみに揺れてる 瞳が幼い



幸せだった日々  戻る事はない
けれど少年は   その先を行く




流れゆく時の中 人の心も変わりゆく
けれど どうか その温もりだけは 
この手の中にいた頃のまま











疲れ果て荒野に ひれ伏す少年
握られた拳は  紅く染まる



故郷を思い出し 涙に暮れる
けれどもう帰る 場所は無い



仲間の墓石 撫でては流れる
涙はやがて 枯れて逝く




移り変わる季節の中 人の姿も変わりゆく
けれど どうか その温もりだけは
この手の中にいた頃のまま






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22:56
それこそが愛
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その細い指で



もっと締め付けてよ



もう、君しか見えないように



もう、君しか思い出せないように







それこそが愛









震える指が



俺の首に触れる







“…死んで・…”



掠れた声で



君が言う







“・・・良いよ・・・”



君にはその権利があるから







細い指が、首に食い込む



体は酸素を欲しがったけど



君に殺されるのなら



それでいい





だって、俺は・・・







君を愛しているから





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22:51
白雪姫
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白く透きとおったその肌は 天より恵まれし雪の一欠

口付けした赤い林檎のいろはそのままに

快楽を求めてはやまない唇は

今宵も狂い咲くでしょう




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22:47
『音』
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鳴り止まぬ鐘

駆ける足音

―――――嗚呼、眩暈がする





絶える事のない人声

車の行きかう騒音

――――――嗚呼、吐き気がする







いつだってこの世界は音に支配されてきた。

無音など存在(あり)はしない。

生きている以上、音は何処までも何処までも人間を蝕み、戒め、離さない。



しかしただひとつ。”音”から解放される瞬間がこの世にはある。

それは自らが死を迎える時。

生の世界から死の世界へと向かう、そのわずかな境界線に無音は確かに存在している。



もしかしたなら、それは世界に存在することを許されず、果てていく者への

神から与えられし、たったひとつ安らぎなのかもしれない。






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22:43
「無題」
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いつも傍にいるよなんて そんな優しい言葉は 僕にはかけられないけれど 
君がその手を伸ばしてくれたなら 僕は掴もう 
もし君がその手を掴み返してくれたなら 僕は握ろう
それしか僕にはできないけれど 





君がいる世界ってどんなところなのかな 色で例えるなら何色だろう
君がいる世界には誰がいて何をしているのかな 動物に例えてみるなら何だろう
そんなの馬鹿らしいって思う君だろうけど 僕は君を 君という存在をただ知りたくて
こんなちっぽけな質問を繰り返してるんだ 僕は我侭だから
だから少し ここで僕の本音を言ってみたいと思う 
最初は疑問に思うこともあるだろう だけど 今はただ聞いていて欲しい



僕は君に生きていて欲しい いつか巡り合うその日まで
たとえ今この歌が君に届かなくても 今度は君の傍で口ずさんであげる
大きな声ではっきりと 君がここにいてくれて良かった  少し照れくさいね
君はできれば笑って欲しい だってそれは生きているからこそ出来ることだから



もし君がこの歌を覚える時がきたら その時にはもう 僕はそこにいないのだろうね
寂しいなんて思わないで 折角君が歩き出したんだもの その歩みは止めちゃ駄目だよ
そうだな そんな君にもう一曲 今度はささやかな風にのせて送ろうか



僕が握った君の手の 余った片手を差し出して
ほらまた誰かと繋がった 君が誰かを救ったんだ その気持ちを忘れないで
決して姿はみえなくとも ほら感じるだろ 君の掌には温もりが
今はそれをしっかりと握り締めて 歩めばいい
いつかそれを本当に握り締めてくれる そんな人に出会うまで





でも時々は僕のこと思い出して 絶え間ない笑顔を 僕に見せて欲しい
それが僕の糧となり やがては誰かに手を差し伸べる たったひとつの勇気になる
だけど秘密だよ 僕もね 本当は弱いんだ 弱いからこそ 僕は…


その言葉の続きは君が語れば良い それは僕が口にすることではないのだから



これは君と僕との物語 
さぁ 君は誰とこの歌を歌うんだい





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22:39
シラユキ
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鋭い刃が、私を貫く







それがまるで偽りであるかのように





私はそれを受け入れる





彼はただ微笑んで



とても悲しそうに











倒れ込む私を抱え込んで



それでもその表情は崩さずに



彼は穏やかな涙を流した













”…ほら、嘆かないで…?”







思ったよりも苦しくはない



悲しくはないから







血に濡れた指をそっと



彼の目元で滑らせる













伝う雫と赤い罪















”…逝くな…っ!”









徐々に力なく下がる私の手を



彼が掴む













”…もう、十分よ…”





霞む意識の中

矛盾したこの展開を心の奥底で哂いながら









”十分、楽しんだわ”





貴方に出会えた事をこんなにも

幸せに思って





”だから”



貴方に殺されるのなら





”私の死は私で背負うわ”







だって貴方は



何も無かった私に



色々なものを与えてくれたんだもの







だけど彼は



それでも頑なに首を横に振る









”僕は結局、君から奪う事しかできなかった”







縋りつくように



私の手に頬を寄せて





”許してくれ…っ”









彼は声を上げて泣いた





















”そうね、本当よ”



思えば結局



私は最後まで

彼に負けてばかりだったのかもしれない











”貴方は本当に狡い人だわ”





彼は少し驚いたような顔をして





それでいてとても

穏やかな顔をしていた





”貴女は私から、何もかも奪っていく”







家族も



友人も



ピアノも









そして

この命まで











”…だけど、そうね…”





貴方がこの感情を教えてくれなかったら





私はきっと貴方を恨んでいた







”与えられたモノも沢山あるわ”







私が貴方に出会えたように





















”ねぇ、キスして…?”









別れの時が近づいてくる





    今や周りの景色さえ、ただの闇に変っていた







”…どうして?”







分かりきった答えを、彼はわざと聞き返す











”…そんなの、決まってるでしょう…?”















――――好きだから―――ー













その言葉を確かめるように



私達は口付けを交わした















深く 深く 絡み合う舌の熱が





私の命をも絡めとっていく













”さよなら”



そう彼の耳元で囁いて



私はその意識を手放した















「心から愛していたわ」










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22:24
記憶の澱
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君への想いが



いつかは朽ち果て



消えてしまうというのなら








この温もりを忘れぬうちに



僕はこの



海の藻屑と成り果てよう












暗く淀んだ奥底で







君の涙の雫となって





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22:21
「    」
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あるヒトリの神様が、地に向けて問うた。



「世界は何故、廻り続ける。



 辿り着く先に、答えは無いと知れるのに。」





地はその声を聴き、思う侭に応えた。





「世界はそれでも、廻り続ける。



 人が人で在る為に。



 辿り着くは始まりの場所。誰もの原点なのだと。」







次の日。神様は太陽に、こう問うた。





「人は何故、其処に願い続ける。



 巡り行く先が、やがては無意味と知れるのに。」





太陽は静かにその声を聴き、やがて応えた。





「人はそれでも、願い続ける。



 大切なモノを、見失わない為に。



 真の願いとは己自身。精神を映す鏡なのだと。」






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