04/21の日記
01:00
餌付け。
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お昼前、大佐がどこかに電話をしてた。
「…そうだ。なかなか面白い文献を見つけてね…あぁ、待っているよ。…では」
『ぶんけん』の話をしていたから、たぶん相手はエドワード君だ。電話を切った後の大佐は、何だかにやにやしてて、ちょっと恐かった。
ハボック少尉の事が氣になって、ハボック少尉の方を見てみると、にやにやしてる大佐をじっと見てた。
勿論、くわえ煙草で。
…お昼ごはんの時間が終わっていつもの様に部屋の隅っこで寛いでいたら、廊下から元気な足音が聞こえてきた。
「こんにちは!大佐いる?」
エドワード君が元気に入ってきた。ここに来る時、いつも「大佐いる?」って言って入ってくるよね、エドワード君て。
そんなエドワード君を、大佐はにこやかに迎えた。
「鋼の、よく来たね。」
「あんたが呼んだんだろうが」
「まあ、そうなのだがね」
相変わらずのやり取りが繰り返される。
「それより、文献文献♪」
「…鋼の、そう急がなくても良いのではないのかね?文献は逃げないのだからね」
「そうだけどさ…」
なんだかんだ言って、二人は楽しそうだ。
そうやって、大佐とエドワード君は執務室って所に向かおうとしてたその時、ハボック少尉が立ち上がった。手には何か持ってる。
「あ、大将!」
「ん?ハボック少尉、何?」
呼び止められて立ち止まるエドワード君。あからさまにいやな顔をする大佐。
そんな大佐をあえて無視して、ハボック少尉は笑顔で続ける。
「ほらこれ、前食べたいって言ってた駅前の菓子屋のシュークリーム。昨日行ったら売ってたんで、買ってきたんだよ。食うか?」
「え?ホント!?俺にくれんの?うわ、さんきゅー少尉!!」
エドワード君は、満面の笑みでその包みを受け取った。
笑顔のエドワード君とは対照的に、凄い顔で火花を散らす大佐とハボック少尉。
ハボック少尉に見送られながら、エドワード君と大佐はこの部屋を出ていった。
何だか僕にはさっきまでの光景が、何とか好かれようと、エドワード君に餌付けをしてる様に見えた。
大佐は文献で。
ハボック少尉はお菓子で。
その事に、エドワード君は全然氣がついてないみたいだ…。
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