06/13の日記
03:19
逢いに。
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今日の司令部。
この頃、この始まり方ばっかりだね。ワンパターン?(犬だけに…寒っ)
大佐のいらいら絶好調。そのいらいらを発散させてるのか、忘れようとしてるのか、仕事が結構進んでるみたい。
「大佐、追加の書類を…」
「ああ、そこに置いてくれ…」
「……大佐、何かあったのですか…?」
「いや、何もないが?」
ご主人さまは、訝しみながらも、それ以上は何も言わないで書類を机の上に置いた。
大佐、言葉遣いがきつくなってる氣がする。
その理由が分かってるから、辛いよね。
大佐の机の書類がだいぶ片付いた頃、部屋の外から左右違う足音が聞こえてきた。
あれ?この足音は…。
「こんにちは〜…」
少し遠慮がちに入ってきたのは、思った通り、エドワード君だった。
アルフォンス君は付いてきてないみたいだ。足音、一人分だったし。
「あれ?大将…出歩いて平氣なんスか?アルは…?」
「何っ!鋼の…!?」
ハボック少尉がびっくりして話し掛ける。大佐は名前を呼んだきり固まっちゃった。
エドワード君は照れ臭そうに笑って言った。
「アルには、ちょっと散歩に行ってくるって言ってあるんだ…体調もだいぶ良いし…大佐?」
未だ固まった儘の大佐を見て、エドワード君は側まで駆け寄って心配そうに顔を覗き込んだ。
「お〜い、大佐大丈夫か?」
「……はっ!鋼の!!体は大丈夫なのか?」
「…はぁ〜。さっき言ったろ?まったく、しょうがねぇなぁ大佐は」
エドワード君は呆れながらも、どこか嬉しそうだった。
「…ごめんな、大佐。アルの奴、あの一件から益々べったりになっちまって…」「いや、アルフォンスの氣持ちも分かるよ。…私は、鋼のと一緒に居られるだけで良いのだよ?」
…いちゃいちゃしてる風に見えるのは…氣の所為じゃ、ないよね…?
ハボック少尉が、二人のいちゃつきを羨ましそうに見てる。
そっか、ハボック少尉、まだエドワード君の事諦め切れてないんだね。
「なぁ大佐…」
エドワード君が大佐の耳元で、皆に聞こえない様に何か呟いた。
僕にはしっかり聞こえたけどね。
その呟きを聞いて、大佐は目を細めて微笑んだ。
「悪いが、私は少し休憩を貰う……鋼の、散歩に付き合ってくれないかね?」
「…ぁ…し・仕方ねぇな。付き合ってやるか!」
エドワード君、棒読みなのが分かり易過ぎ…。
大佐とエドワード君は、二人して部屋を出ていった。
部屋に居る皆は唖然としてた。
あっそうだ!付いていってみよう!
僕は、氣づかれない様に二人の後を追った。
大佐とエドワード君は、人が滅多に来ない場所まで歩いていった。
エドワード君は、周りを氣にしてるみたい。
大佐は…余裕の表情だ。
辿り着いたのは、建物の行き止まり。しかも、他の場所からは死角になってる。人も絶対に通らない様な所で(僕はよく探険するけど、こんな場所があるのは知らなかった)。
「大丈夫かよ?こんな所で…」
「ああ、ここは普段全くと言って良い程人は通らない。離れの様なものだから…多少大きな声を出しても…」
「うひゃっ!?」
大佐はそう言いながら、エドワード君の体を撫でた。
その拍子に、エドワード君は思い切り変な声を出した。
「なっ、いきなり何すんだよ…」
「…エド…」
エドワード君が抗議する隙を与えないで、大佐はエドワード君を名前で呼んで、優しく抱き締めた。
「た・たい…」
「ロイと呼びなさい…エド…本当は、直ぐにでもこうしたかった…」
「…ロイ…俺も…」
二人はその儘見つめ合って…。
「…エドワード…」
「ん…っ…」
ああ、やっぱり…。
目に毒な、二人の濃厚なキス…。
何度も離れては重なる唇。
エドワード君は段々足に力が入らなくなってきたみたいだ。
それを察した大佐は、エドワード君の背中を壁に付けて、更に口付けた。
今回のキスは、やけに長いな…。
そう思ってたら…。
「…エド…可愛いよ…」
「…ゃ…ぁ…ロイぃ…」
あわわわわわっ!!
それ以上の事が始まっちゃったんですけど!!
僕はその、余りにも刺激的な光景に…。
耐えられなくて…。
………。
走って逃げた。
その後暫らく、大佐とエドワード君は帰ってこなかった。当然だけど。
司令部に戻った僕は、ドキドキが止まらなかった。
あんな光景見たら、誰だってこうなるよ。
…目に焼き付いて、暫らく離れそうに無い。
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