06/18の日記
02:51
組み手。
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今日、エドワード君とアルフォンス君は、司令部の中にあるお庭で組み手をしてる。
僕はそれを大きな木の影で見てるんだけど…。
二人とも、凄い動きだ。
さすが、いろんな所を旅していろんな事に巻き込まれてるだけはあるよね。
暫らく組み手は続いて…。
「…アル、ちょっとタンマ…ふぃ〜…だいぶ鈍っちまったみたいだ…」
「そっか…兄さん、あんまり無理しちゃ駄目だよ?」
音を上げたのは、エドワード君の方だった。
エドワード君は生身の身体だし、何よりも病み上がりだからね。無理もないと思う。
タンクトップをパタパタさせながら、エドワード君は僕がいる大きな木の影に来て、座り込んだ。
アルフォンス君もそれに続いて、エドワード君の隣に座った。
「はぁ…。暫らく動いて無かった所為で、思う様に動けねぇな…」
「しょうがないよ兄さん。ここの所、ずっと寝てたんだもの…急には戻らないって…」
「でもなぁ…」
木にもたれ掛かりながら、不満を洩らすエドワード君と、それを宥めるアルフォンス君。
涼しい風がさあっと吹いてきた。
「…ふあぁ…何か…ねみぃ…」
エドワード君は大きな欠伸を一つして、アルフォンス君にこてんと寄り掛かった。
「兄さん?」
アルフォンス君が声を掛けた時には、もう静かな寝息をたててた。
「…もう、しょうがないな〜兄さんは…」
アルフォンス君は、エドワード君の事を起こさない様にその儘じっとしてた。
どれ位時間が経ったろう。
アルフォンス君が、ぽつりぽつりと独り言を言い始めた…と言うよりは、寝てるエドワード君に話し掛ける様に、かな。
「兄さん…そんなに大佐の事が、好きなの…?いつから、好きになったの…?」
その鎧の手は、優しくエドワード君の頭を撫でる。
「大佐は僕達の恩人で、後見人で…。でも兄さん、会う度に嫌そうな顔してたじゃないか…大佐も嫌味ばっかりで…」
アルフォンス君は鎧で、表情は変わらないけど…。なんとなく、溜め息を吐いた様に見えた。
「…いつの間に、兄さんと大佐は…そんな関係になったの…?」
アルフォンス君、何だか凄く悲しそう…そんな感じがした。
「…僕…だって…。僕だって、大佐に負けない位…兄さんの事、好きだよ…?」
がーん。突然の、アルフォンス君の告白。
でもでも、その『好き』って、兄弟としての『好き』だよね?
「兄さんの事、凄く大切に思ってるよ…。この氣持ちはきっと…兄弟を想う氣持ちとは、違うと思うんだ…」
………。
アルフォンス君、兄弟の『好き』とは違うって言い切っちゃった…?思う、って言ったのか…。
「…この氣持ちを伝えられないのは…はっきり言って…辛いよ……兄さん…」
そう言ったアルフォンス君は…本当に、辛そうだった。
エドワード君が目を覚ましたら、アルフォンス君はいつものアルフォンス君に戻ってた。
でも……。
何だか複雑だ。
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