□夜桜を二人で
1ページ/7ページ

花見の後片付けをして、部屋に戻った時には2時を過ぎた頃だった。
疲れているので、ベッドに仰向けに倒れてしまえば睡魔が襲ってくる。
ゆっくりと瞼が閉じようとしたそのとき、
トントンと軽いノックが聞こえた。

「何だよ、こんな夜中に…」

頭を掻きむしりながらドアを開けると、
そこには酒とつまみを抱えた砂白が立っていた。

「ごめんね。でも、朱星と二人でお花見したくて、それで…」

必死に言う砂白を見て、俺は少しホッとしたようにくすっと笑った。

「有難う」

砂白の暗かった表情がすぐに明るくなり、嬉しそうに尻尾を振った。
砂白の頭をくしゃりと撫でると、そうだと思い出して訊いた。

「なんだったら、俺の部屋で花見しないか?
実は結構この部屋から見える夜桜が綺麗なんだ」

砂白はそれを聞いて、ピンと尻尾を立てて目を輝かせた。

「いいの!?」

「どうぞ…って言っても、椅子ないけど」

苦笑混じりに言って、砂白を部屋に招き入れた。


_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ