水色のラヴソング

□二人の先輩
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夏菜と優紀の生徒会への勧誘があった、翌週の月曜日。
朝練を早めに切り上げた瑞穂は、生徒会室の前に来ていた。
まだ誰も来ていないのか、ノックをしても返答がなかった為、誰かが来るのを待とうと、ドアの前から離れようとした時だった。


夏菜「おはよう、香月さん。」

瑞穂「……おはようございます。」

背後から夏菜の声が聞こえ、瑞穂もそれに答えた。
いつも一緒にいる優紀は今日は一緒じゃないようで、夏菜一人だった。

夏菜「立ち話もなんだから、中にどうぞ。今開けるから。」

瑞穂がここに来ている用件がすぐにわかったようで、カバンから鍵を取り出しながら、夏菜が云う。

瑞穂「いいです、此処で。すぐに終わるので。」

瑞穂は長居するつもりもなかったので、手短に済ますため、そう云った。

夏菜「…そう?じゃあ、返事を聞かせてもらおうかな。」

ドアを開けようとしていた手を止め、瑞穂に向き直る夏菜をまっすぐに見つめ、

瑞穂「…入ります、生徒会。」

瑞穂は決心した答えを出した。

夏菜「ありがとう。あなたなら、そう云ってくれると思ってたよ。
じゃあ、今日の放課後、もう一度来てくれる?新しい生徒会の結成式をやろうと思ってるから。あ、もちろん、部活終わった後でいいから。」

夏菜は安堵したような柔らかい笑みを浮かべ、そう云った。
瑞穂も少なからず安心し、ぎこちないながらも笑ってみせた。
そうして、瑞穂は教室へと向かった。


教室に行けば、半数以上の生徒がクラスに来ていて、ルームメイトである朱莉も来ていた。

朱莉「おっ、来たね、瑞穂!神無月先輩や上杉先輩には逢えた?」

若干興奮気味に、メモ帳とペンを携えて瑞穂の元へ駆け寄る朱莉。
そんな朱莉に小さなため息を漏らし、瑞穂は向き直る。
すでにクラス中に瑞穂が生徒会にオファーされたことが知れ渡っており、クラス中から視線を浴びていた。

瑞穂「神無月先輩に逢った。放課後、部活が終わった後にもう一度来て欲しいって云われた。
……新しい生徒会の結成会をやるって…。」

瑞穂は周囲の視線に若干の居心地の悪さを感じながらも、朱莉の質問に答えた。

朱莉「お〜!結成会って何をやるんだろうね!?ってか、毎年そういうの密かにやってるのかな!?」

瑞穂「…知らない。」

朱莉「ねぇねぇ、生徒会室の中がどうだったとか、感想聞かせてね!」

瑞穂「わかった…。」

朱莉の勢いに押され、そんな事を云ってしまった自分に嫌気がさした瑞穂だった。







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