水色のラヴソング

□二人の先輩
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夏菜「今日は、とりあえずこれでお開きね!
二人とも、明日は大事な日だから、遅刻しないように生徒会室に来てね!!」


夏菜のその言葉に仁美と瑞穂は頷き、寮へと歩を進める。


仁美「ねぇ、瑞穂先輩!メアド、交換しませんか?」

校舎から出て寮へと向かう道で、思い出したように仁美は携帯を取り出し、そう云った。
瑞穂は頷いて携帯を差し出し、仁美は何の違和感もなく受け取った。

仁美「ありがとうございます。あたしのも勝手に登録しちゃいました!」

仁美は少しの間、自分と瑞穂の携帯をいじった後、すぐに瑞穂に携帯を返した。

仁美「瑞穂先輩も寮生だったんですね〜。どうして寮に入ったんですか?もしかして、ご実家が遠いんですか?」

仁美は終始ニコニコしながら問いかけ、瑞穂はくすぐったいような気持ちになりながら、答えた。

瑞穂「うん…。ちょっと、実家から通うには距離があるから…。
土日とかはたまに帰ってるけど…。仁美は…?」

仁美「そうだったんですね!あたしは、一応電車で二駅の距離なんですけど、うちの家、両親とも共働きで、夜遅くなることが多かったんです。
兄と姉が一人ずついるんですけど、二人とも大学生で、バイトもしてるから毎日いるわけじゃないし…。
それで、あたし一人家に置いておくのは心配だし、寮があるなら寮に入った方が安心だからって、寮に入るのを勧められたんです。
まったく、あたしだってもう高校生なのに!って感じですよ。」

仁美は家族の言い分に不満があるのか、頬を膨らませてそう云った。

瑞穂「でも…、それは仁美を心配して云ってること…。仁美がいなくなって、家族みんな、寂しがってるかもしれない。」

仁美「そうですかねぇ…?でも、あたしも心配はさせたくないし、ルームメイトの子とも仲良くやれそうだし、楽しむことにします!」

瑞穂「うん…。その方が家族のみんなも嬉しいと思う。
家に帰る時は、学校や寮での生活を話してあげるといい。きっと喜ぶ。」

仁美「はい!そうします!それにしても明日かぁ〜…。緊張します!!」

瑞穂「そうだね…。」

夏菜から云われた、大事な日。
それは、明日の朝に行われる生徒総会で、新しく生徒会のメンバーになった瑞穂と仁美を全生徒に報告、もとい、お披露目をする、というのだ。
それぞれ簡単なあいさつを考えてきてほしい、と云われている。
舞台に立つことが緊張するのではなく、舞台に立って何か自分の言葉で発言する、という事に緊張を覚える瑞穂だった。
全校生徒の前に立つのは仁美よりは慣れている自信はあるが、それ以外はなんら仁美と変わらない立場なのだ。

仁美「明日はお互いにがんばりましょうね!瑞穂先輩!!」

瑞穂「うん…。がんばろう。」

二人はお互いに励ましあいながら、寮へと帰った。







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