長編1

□第一部
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不老であっても、死は一般の人間と同じように存在する。
異種能力を使いすぎると、ミステリオンが酷使され、いずれは衰退、減少し、”異能者”の身体を衰弱させ、死に至らしめるという経緯が既に調査済みであった。

一方、”契約者”とは、”異能者”と似たような存在で、人工的に作られた”異能者”と云われている。
”異能者”の体内に組み込まれた謎の遺伝子、ミステリオンを一般の人間に移植した者達の事である。
”契約者”はミステリオンを移植する事で異種能力を手に入れられるが、適合するかどうかは個人差があり、移植すれば必ずしも異種能力が手に入ると云うわけはなかった。
そして、これも個人差があるが、不老になる可能性も限りなく低いとされている。
ミステリオンを移植しても、宿主である人間が選ばれなければ、”覚醒”もしない。
そして、不老にもならなければ、異種能力を手に入れる事も出来ない。


―――

「”契約者”は、どちらに加担しているのだ?」
声の硬度を増して、リンは問う。
「それぞれ、分裂しています。我々”星の使途”に付く側の者と、”異能者”たちの集団、”神姫”に付く側の者達と…。
数は、同等と考えられます。」
深刻な声で、狼は云う。
「…そうか……。これから本部へ出向く。ルナにそう伝えてくれ。」
「了解しました。」

そう云うと、銀色の毛並みの狼は風のようにその場から消えていた。



「………ついに始まるか…、最終戦争が…。」








第二章 白と黒と灰色 へ



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