短編
□モノローグ
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躊躇い。
戸惑い。
憂い。
疲れた身体が、
あたしの精神(こころ)を狂わせ、
貴方へ向けた言葉は、
届きはしない。
―――――
「別れよう。」
「…………どうして?」
あの日は、雨が降っていた。
「…もう…耐えられないんだ。」
「………耐えられない?」
激しく強い雨に撃たれ、あたしは、自分が泣いているのかさえ、わからなくて。
「………正直……、重いんだ。お前の……心が…、言葉…、全部が…。」
彼は、泣いていた。
「……ヤダ……。」
本当は、気付いてたんだ。
この想いは、行き過ぎてるって。
「ヤダ、ヤダよ!あたし……あたし…っ!悟が居なきゃ…ダメなの…っ!!だから…お願いだから、別れるなんてこと……云わないでよ…。」
ただのあたしのワガママだって、わかってる。
それでも、あたしは、一人になりたくなかった。
彼にすがりたかった。
「………ごめん…。本気なんだ…。」
あぁ…。
いつも、みんな辛そうな顔してあたしをフるの。
「…………あたし、死んじゃうかもよ?」
悪い女。
汚い女。
こんな手を使ってでしか、彼を引き留められないなんて。
「……ごめん…、本当に…そういうの…、重いんだ…。」
知ってる。
全部、知ってるよ。
結末は変わらない。
別れ話が出たら、どう足掻いてもあたしの場合はダメなの。
修正できないくらい、行き過ぎてるの。
「………じゃあ、あたしを殺してよ…。」
死んでしまいたい。
こんなことを一生繰り返すだけなら、こんな人生要らないよ。
「…………さよなら。」
雨音が大きくなる。
遠ざかる背中。
あぁ、また一つ、物語が幕を閉じた。
「………誰か……、誰か……あたしを……愛してよ……!!」
届かない言葉。
届かない心。
届かない手。
切ない。
切な過ぎて、
ホント、死んじゃうかも。
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