ss.
□僕にキスして
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(届かない)
そろりと彼に手を伸ばす
だけど届かない
(もう少しなのに)
彼に触れたくて一生懸命
(やっと届いた)
そう思って彼に触れたけど
温もりなんてない
無機質な冷たさが僕を悲しくさせた
(ああ…やっぱり君には触れられないんだね)
わかっていたことだけど
だけど
もしかしたら君に会えるのかな
(なんて…ね)
そんな子供じみたことを考えていた自分を愚かだと思う
こんなに君を欲している僕を見たら君はなんて言う?
そんなことするくらいなら戦えって言うのかな
もうその答えさえもわからない
「ねえ、ハレルヤ」
昔みたいに頭の中に話しかける
君はもういないけど
「大好きだよ?」
そういって鏡の中の自分にキスをした。
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