帳中

□無題
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「なあ、帰命侯」
 青白い腰を穿ちながら、囁く。
「私と、あの男と、どちらがいい?」
「そ、んな…っ…」
 断続的に痺れる快感、恍惚とした頭の中で、答えなど出るはずもないのに。
「知ら、ない…っ…ぁ…そんな……」
「決めろ」
 見下ろす顔は笑っているのに、口調は容赦ない。
「それとも、やめるか?」
「おまえ…っ!」
「嫌なら答えよ、さあ…」
 熱い粘膜へ何もかもぶちまけてしまいたい衝動をこらえて、命じる。
 幾度と無く秘所を擦られ、突き上げられ、すがるように絡む脚も痙攣する、眼下の高貴な虜囚に。
「ッあ…、ぁ、……あ……ぃっ…」
 苦痛すら混じった悦楽に柳眉を歪めながら、彼は必死に応えようとする。
 美しく歪んだ、その顔が、またいっそうの欲情を煽ってくれるなどと。
 限界を感じながら、答えを待つ。
「ぁ……あ…なた……」
「私が……?」
「あなた、が…っあ……ぃ…っ…いい…」
「ほう……誰と…?」
「んっ……ほ、かの…だれと……誰、より…っあ、あなた、が…っ!」
 与えられた甘い責め苦に答えたことが、興奮を呼んだのか。
 そのまま体を震わせ、彼は達した。
 どろどろに蕩けた後庭は、それは熱く、優しく、無遠慮な雄を締め上げてくれる。
「まだ、足りない…」
 眼下で放心する孫皓に、幾分か霞みかける視界のまま、言い放ってやった。
 そうすると、汗の浮かんだ額、細い眉が切なげにゆがむ。
「もう…いやだ……」
 落ちかけようとする意識のせいで、それはそれは舌足らずな言葉遣い。
 それが甘えてねだるように聞こえるのだと、勝手に理由をつける。
「だめ、許さない」
 もう一度、もう一度と。
 細い悲鳴を聞きながら、熱く融けた体に溺れていく。
「愛しているよ、私の元宗…」
 きっと、彼は、そんなものは愛ではないと言うだろうけれど。




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