肌を隠しもせず、ただ、余韻と夢の間をたゆたっている。 それでも眠りへ落ちることができないのは、吐き出されぬまま終わった精液が、自身へ疼くように微かな熱を伝えるから。 下肢はまだ温かく、その奧には大好きな兄の体液が、大切に閉じ込められている。 とろりと蕩けた瞳が、蒼黒い虚空をぼんやりさまよっていたが、ふと、身を起こした。 弟の起きる気配を察して、隣室から曹丕が顔を覗かせる。 曹植が、ぼんやりと寝台へ起き上がっていた。 「どうした」 「ねえ…兄様…」 月明かりを背にした両脚は、痛々しいほど白い。 「兄様の子が欲しい…」 どこか霞がかかったような瞳で呟く弟に 「無理だな」 曹丕の答えはにべもない。 だが、曹植には聞こえているのかどうか。 「欲しい…生みたい…」 白い白い脚が、ためらいなく開かれた。 「どうして、私には胎がないんだろう…」 「男だからに決まっていよう」 「兄様に精を注いでもらっても、少しも育たない…」 くすっ、と弟は笑う。 その微笑みは、どこかいとけなく、弟の外見にそぐわないようで、曹丕は不快な気持ちになった。 それなのに その手は弟の細い肩をつかみ、寝台へ引き倒す。 「ねぇ…兄様…来て…」 敷き布へ沈みながら、弟が手を伸ばす。 「もっとたくさん、抱いて…」 腰を絡め取られる感覚。 憑かれたような誘惑が耳元を犯す。 「たくさん突いて、もっと奥に出して……そうすれば、次はきっと―」 ――きっと兄様の子を産める これが夢なのか。 それとも現なのか。 それは二人にさえ判らない。 |