帳中

□譫言
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「君は、案外と感じやすいんだな」
淫乱、と優しい声で微笑む、その表情もまた優しい。
指先がやわらかに首筋から肩をすべり、尖りかけた胸の頂を弄う。
「…っ!…ふ…ぅ…」
ぞくりとした。甘い疼きが胸元から背を這う。
わずかな愛撫にうごめく、この体が憎たらしい。

俯せにして、獣のように四つ足で這わせ、突き出された尻をそのまま挿し貫いた。
鋭い呼吸とともに体が震えた。
褥を引き裂かんばかりに掴み、必死に声をこらえている。
「痛くはないだろう?…いや…君は男の体なしで堪えられないかな…」
優しい笑声に唇を噛む。
体内を出入りする、ぬめった熱の塊に腰がしびれ、あまりに心地よい疼きが羞恥を忘れさせていく。
「気持ちいいよ…伯珪…そんなに腰を振って…下の口は美味しそうにくわえこんで、君の体はいやらしいんだね…」
噛み締めた唇から涎がつたい、握り締める拳は皮膚が白くなるほど。

次第に腰使いが速くなっていく。疼くような熱い刺激が下腹を走り、脚が引きつる。
唇を開いて喘ぎ求めることができれば。
拳を解いて、すがり、爪を立てることができれば。
熱くとろけた脳裏に本能がよぎった瞬間、背中を這い回っていた手が、乱れた銀髪を鷲掴みに引き上げた。
伏せていた顔が勢いよく上がる。
反動で唇が開いた。
「あ、ァ…っ!」
確かな悲鳴がほとばしった。
一度こじあけられた口は、もはや閉じることなどできない。
「あンッ、あっ、あぁあっ」
「あぁ…暴れないで、伯珪…好すぎる…」
獣を従わせる鎖のごとく、銀の髪が引かれる。
「ゃ…あっ…伯、安…!」
「ん…?なに、伯珪…」
「だめ…も…っ…イキそ…」
うわごとのごとく喘ぐ、彼は確かに陥落した。
そう理解したとき、劉虞の柔らかな唇に、うっすらと優しい笑みが浮かんだ。

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