目の前へ白く長い腕が伸ばされ、磨かれた爪が色薄い唇をいらう。 その意味は知っている。 軽く舌先で触れ、ぱくりと含んでやれば、見下ろす“主”が満足そうに笑った。 「いい子だ……そう…よく舐めろよ…?」 「ん…」 もう一本、指がもぐりこむ。 舌で包むように舐めていると、時折、からかうように爪が舌をくすぐった。 そのまま引き抜かれた二本の指は、唾液の糸を引いて濡れている。 「これも口淫と呼ぶのかな」 「さて、な…」 「ふん…可愛げのない…」 「いつものことだ」 他愛ない会話を交わしながら、濡れた指が後庭をまさぐる。 軽く指先を埋めたかと思えば、一気に挿し込まれた。 「っ……」 擦れるような感覚に思わず息を呑むが、長い指は構わずに動き始める。 「なんだ、もう痛むのか。…先ほどまで、泣くほど善がって咥えていたくせに…なぁ…?」 「っ…うるさい……」 「そのような物言い、私以外にはするなよ?」 二つの指が好き勝手に粘膜を犯していく。 一方は秘所を執拗に弄い、一方はより奥を押し開く。 触れられるたびに、白い体がなまめかしく蠢き、ひきつる。 「っぁ…あ……あぁ…」 もう何度目か知らぬ、しかし、とどめようもない愉悦。 ぞろりと這いずるような熱さが下肢を伝う。 先ほどまでの情交で放たれた精液だと、蕩けていく頭の片隅で理解した。 「……ほら、聞こえるか?」 掻き出される精の残骸が、べちゃべちゃとだらしなく、後庭を潤してはこぼれていく。 「や…っ…やめ…っ…!」 拒もうとした言葉が、秘所を押し潰される快美感に途切れた。 同時に、噛み付くような愛撫が、喉から胸へ次々と落とされる。 時に紅く歯型を残し、痣が咲いていく。 その痕を、たっぷりと唾液を乗せた舌が優しく這い回った。 「痛…っ…!やめ…ろ…っあ…っ!」 熱い快楽と、じわりと滲む疼き。 紅く熟れた胸元に吸い付けば、細い悲鳴とともに身悶えた。 「も…っ…無理…、もう……ぃ…ッ」 「悦いか…?そんなに…?」 にんまりと目を細めながら、荒い息を吐く唇をふさいでやる。 もとより、答えなど気にしない。 淫楽に溶けた思考が理性をつむごうと、何ほどの面白さがあるものか。 この男は存外、快楽に弱い。 溺れるほどの悦びを与えてやり、喘ぎすすり泣く声を聞くほうが、よほど素晴らしい。 |