帳中

□試遊
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紫色の、絹の平織の紐を取り出した。
ちょうど乳首へ擦れるように、胸元へめぐらせ、結わえる。
「息を吸ってごらんなさい、深く…そう、ゆっくりと…」
優しく髪を撫でられ、言われるまま、深く息を吸う。
「…っ、ん…!」
予想どおり、体をふるわせ、甘いかすれ声を漏らす様子に、満足げに目を細める。
「ぁ、っ…子元…」
「だめですよ、外しては…」
「でも…っ…!」
呼吸のたび、絹紐が柔らかく食い込む。
微かだが甘く痺れるような刺激に、下腹が疼いた。
熱を持ち、硬く勃ち上がってくるのがわかる。
疼く熱塊を持て余して、腰が浮きかけた。
「ひ、…!」
動いた反動で紐がずれる。
赤く熟れた乳首を柔らかく押し潰し、擦られる刺激に、微かな悲鳴が漏れた。
だが、絶頂を求めて手を伸ばしかけると、しのびやかな笑声とともに
「触らないで」
囁かれ、手がおしとどめられた。
「いや、っ…いきたい…!」
喘ぎながら必死に告げるのに、司馬師は微笑んで口づけるだけ。
「いけません」
「なぜ…っ…」
「ここだけで…」
ぴん、と硬く尖る乳首を弾いた。
「あ…!」
「逝ってごらんなさい」
指の腹で優しく押し包み、摘んだり、軽く爪の固い感触を与えて、おもうさま弄った。
赤く腫れて色づいた頂を、指先でくすぐるように弾く、その感触はまさに果実に似ている。
「は…、ぁ……」
切なげな呼吸が、もっと触れて欲しいと、悩ましく求めている。
「お可愛らしい」
喘ぐ唇を食み、零れる唾液をすくうように舌を差し入れる。
「ん…っふ…ぁ」
ほとんど触れられていない今夜。熱い肉や体液に飢えた体が、涎まみれの唇をはしたなく貪った。

今すぐ、白く細い腰に突き入れて、よがり狂わせてやりたい。
壊れるぐらい叩きつけて、淫らな言葉を叫びながら腰をふりたくり、果てる様が見たい。


雪のような肌も、うなじも、興奮と羞恥に赤く血の色を刷く。
紅潮した頬と、必死に堪えて歪んだ眉、潤んだ瞳が美しい。
そんな司馬師の内心を知る由もなく、曹叡は羞恥と熱情のはざまで震えていた。

もどかしい刺激などではなく、もっと強く触って欲しい。その意地悪な唇でなぶり、舌で舐め上げ、吸い上げて欲しい。
その手指は精液を残らず搾り取るまで弄んで欲しい。

言葉にできない淫らな懇願。
限界まで追い込ませ、内なる欲情に身を焼き悶える様が愛しい。







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