ネタまとめと拍手小話。

□2009年3月のネタ。
4ページ/26ページ



リップクリーム。

叔父上が上唇を何度も舐める。乾燥してぴりぴりと痛むらしい。ひどく目に毒な光景ではあるが、本人は至って真面目、というより忌々しげな顔である。それもそうか。

「おい」
「なんでしょう」
「リップクリームを持っていない
 か」
「持ってますけど、」
「貸せ」

ええと。私の隣には右手を差し出す叔父上。いいんですか、間接キスですよ。間接チッスですよ。貴方は私をどうしたいんですかねえちょっと。

「おい」
「ぁああはい!リップクリームで
 すね!」

剣呑な雰囲気を漂わせ始めた叔父上に我に変える。慌てて鞄からリップクリームを取り出して押し付けた。

「…いつもリップクリーム人に借
 りるんですか…?」

怖くなって聞いてみた。無言で頷かれ、挙げ句、何が悪いのだ?と首をかしげられた。

その後コンビニへ直行して叔父上にリップクリームを買わせたのは言うまでもない。




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ