ネタまとめと拍手小話。
□2009年3月のネタ。
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幻想の残響。
耳をすますと泣き声が聞こえる。
私は嘘つきだった。主従の契りを違えることができなかった。大切なものを置いてきてしまった。
残ったのは、幻想。
私は彼の泣き声を聞いたことがない。彼は泣かなかった。彼は気丈だった。最後の日も彼は気丈に微笑んでいた。私は彼の泣き声を知らないのだ。
しかし耳に響く残響。
彼の泣き声。誰にもすがれず、誰にも求めず、誰にも聞こえない泣き声。だだ泣いている声。
ああ今日も泣き声が聞こえる。
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