ネタまとめと拍手小話。

□2009年3月のネタ。
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嫌い嫌い嫌い。

自分より出来る異母兄が嫌いだった。事ある毎に比べられ、嫌気が差していた。その日もやはり比べられ、自分にしては珍しく、苛々していた。
憂鬱な気分で部屋に戻る途中、異母兄に会った。いつも顔を合わせる機会があってもできるだけ合わせないようにしてきた。その日は特に顔を合わせたくなかった。見たくもなかった。そしてそんな日ばかり義兄上殿は勘がいいのだ。
とっさに顔を反らしたら、すれ違い様にぽつりと言われた。

「…無様だな」
「っ!!」

かっと頭に血がのぼった。母方の血が濃いのか、王族の誰とも違う赤い瞳を睨み付ける。

「…貴方には関係ない」

絞り出すように言った。私を見返す異母兄の瞳は冷静だった。冷徹と言ってもいい。ただ静かに、冷ややかに、私を見ていた。

「分からないなら、それも良かろ
 う」

ゆっくりと踵を返し、去っていく異母兄。焼き付いた色は赤。

血よりも赤い、紅。




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