ネタまとめと拍手小話。
□2009年5月のネタ。
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手で食う派。
「絶対いやだ」
「なんでいやさ」
「不味いだろうが」
「行ってみなきゃわかんねーでしょ」
「…行かなくてもわか、」
「はいはい。とりあえず行こう」
「……………」
「ほっぺふくらかさないの」
まあ、そんなこんなで。おれがスコピーを引きずってったのは、近所にできた某回転寿司のチェーン店だ。もちろんスコピーの作った飯を食べ飽きたとかでは断じてない。ただちょっと二人で外食してみたかったんだ。それで行くところが某チェーン店なのが少し悲しいがしょうがない。
「……………」
「まだむすくれてんの?」
空いていたカウンターに腰かけ、いまだにむすーっとしたスコピーの顔をのぞきこむ。
「…別に」
どうみても別にって顔じゃない。はあ、とため息。もそもそ手拭きで手を拭いているスコピーの目の前にお茶と醤油皿をおいてやる。
「はい、あと割りばし」
「…いらん」
「いらんて…」
「はしはいらん」
そう言うとスコピーは流れてきた皿をとって(あ、たまご)そのまま手で食った。
「え、ちょ、はしは!?」
「だからいらんと言った。そもそも寿司ははしを使わずに食べるためにこんな形なんだぞ」
それを活用せんでどうする、ともくもくと寿司を口に運ぶスコピーは男だった。いや、むしろ漢だった。
「…?食わんのか?」
「うん、ごめん、食べる。でもちょっと待って、いま軽くカルチャーショック」
「?」
おれが立ち直ったとき、すでにスコピーは15皿食った後だった。
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