ネタまとめと拍手小話。

□2009年5月のネタ。
2ページ/15ページ



手で食う派。

「絶対いやだ」
「なんでいやさ」
「不味いだろうが」
「行ってみなきゃわかんねーでしょ」
「…行かなくてもわか、」
「はいはい。とりあえず行こう」
「……………」
「ほっぺふくらかさないの」

まあ、そんなこんなで。おれがスコピーを引きずってったのは、近所にできた某回転寿司のチェーン店だ。もちろんスコピーの作った飯を食べ飽きたとかでは断じてない。ただちょっと二人で外食してみたかったんだ。それで行くところが某チェーン店なのが少し悲しいがしょうがない。

「……………」
「まだむすくれてんの?」

空いていたカウンターに腰かけ、いまだにむすーっとしたスコピーの顔をのぞきこむ。

「…別に」

どうみても別にって顔じゃない。はあ、とため息。もそもそ手拭きで手を拭いているスコピーの目の前にお茶と醤油皿をおいてやる。

「はい、あと割りばし」
「…いらん」
「いらんて…」
「はしはいらん」

そう言うとスコピーは流れてきた皿をとって(あ、たまご)そのまま手で食った。

「え、ちょ、はしは!?」
「だからいらんと言った。そもそも寿司ははしを使わずに食べるためにこんな形なんだぞ」

それを活用せんでどうする、ともくもくと寿司を口に運ぶスコピーは男だった。いや、むしろ漢だった。

「…?食わんのか?」
「うん、ごめん、食べる。でもちょっと待って、いま軽くカルチャーショック」
「?」

おれが立ち直ったとき、すでにスコピーは15皿食った後だった。




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ