記念SS

□月影ノ傍ラデ
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それは決して、自らの光を放つことはない。

それは決して、自らの色を持つことはない。

それは決して、自らの軌道を外れることはない。



…でも、それは…なによりも自由に、なによりも美しく、なによりも輝きながら…私達の“心”を照らす。


雲に覆われようと。
太陽の影に隠れようと。
…自らの一部を欠いたとしても。


その妖艶な輝きは…一瞬たりとも失われることはない。



…目を閉じたほんの数秒で…目まぐるしく変わってゆくこの時代の中で。

覆われても、隠されても、欠けたとしても…なにも変わらず“ここ”にある。





…時にそれは、優しく心の傷を癒し。

時にそれは、妖しく心を掻き立て。

時にそれは、恐怖で心の奥を煽り。


私達の心理を真似るように…想いのままの表情を魅せ。



…時にそれは、美しい女性の顔を映し。

時にそれは、躍動する兎の姿を映し。

時にそれは、雄叫びをあげる獅子を映し。


私達の思考と同じように…想いのままに姿を遷す。




手を伸ばせば…触れるだろうか?

目を細めれば…見えるだろうか?

耳を澄ませば…聞こえるだろうか?




それはあまりに遠いのに…なぜか不思議な程近い。





今宵は“盈月”。

遮るものはなにもなく…ただ煌々と世界を照らし。

闇夜から降り注ぐ月影は、距離も時間も越え…私達の“心”を繋ぐ。


…例えあなたが…隣にいなくとも。

この風を。
この空を。
この星を。
この月を。

一緒に感じられるなら。


私はそれ以上なにも…望みはしない。




-Fin.-

〜First Anniversary
Thank You Very Very Very Much!!〜
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