ある暖かい日の午後、その銀髪で風を感じながらフィノは村外れの森の中に佇んでいた。よい気候のせいか、今日は随分小鳥たちもご機嫌のようでフィノの肩や頭にとまってくる。

「うーん、やっぱり森の中は癒やされるなぁ〜……」

 そんなことを独りごちて、少し昼寝でもしようかと思ったとき、

「お、フィノじゃねェか」
「あ!シアだ〜」

 南の方の道を歩いてくるシアを見つけ、フィノが立ち上がると小鳥たちが一斉にバタタッと飛び去る。

「珍しいね〜シアが森に来るなんて」
「別に森が目的地じゃねェよ!俺はこれからちょっとアリスンに行ってくる」
「アリスン地方!?そりゃ遠いね〜……」

 アリスン地方といえば、シキズンからはチナリ地方と反対方向の隣国だ。しかし村からだと普通に行っても1週間はかかるだろう。
 シアはハァーと盛大なため息をつく。

「俺だって好きで行ってる訳じゃねェよ!ただ隼人の体力バカがよー、ファントム使うときに異常に体力を使っちまうから、それを直してやろうと思ってな。癖が付くと直しにくいし。その方法を調べようと思って……アリスンってデッカイ図書館があったろ?」
「あぁ〜……タナー図書館かなぁ?」
「それそれ」

 自分でそう言いながらシアは何度もハァとため息をつく。
 それを見てフィノはふわっと笑う。

「シアって年下の子の面倒見いいよね〜」
「ハァ!?」
「まぁ頑張ってね〜」

 するとシアはフィノの方を不機嫌そうにチラチラ振り返りながら、曲がりくねったアリスン地方への道を辿っていった。
 フィノはそんな彼にひらりと手を振り、姿が見えなくなると、再び座り込んだ。小鳥たちが寄ってくる。

(いい師弟関係だ〜)
「……ね?」
「チュンチュン、チチ……」



↓よければ一言↓
(お返事はblogにて!)






[TOPへ]
[カスタマイズ]

©フォレストページ